トピックス・レポート

最新の患者調査(厚生労働省)より、国民の健康状態について分析

まとめ:生活習慣病予防の観点から

 不健康な生活習慣による生活習慣病の発症・進行は今回の有病率の年齢別推移や性別の差異からもみてとれます。性差でも取り上げたアルコール(飲酒)を取り上げてみましょう。

 アルコールは成人になってはじめて身体に入るものです。したがって、20歳未満群でのアルコール関連疾患の有病率は0%以下です。過剰な飲酒を継続することで、20~64歳群でアルコール性肝疾患やアルコール使用による精神及び行動の障害は増加し、どの年齢群よりも有病率は高値です。肝臓障害が進行すると肝硬変に進展します。肝硬変の有病率は65~74歳群でピークとなります。75歳以上がピークとならないのは、75歳前後での死亡によるためです。

 一般に女性に比べ男性の飲酒量は多く、過剰な飲酒は慢性膵炎を引き起こします。男性の慢性膵炎の有病率(対女性)は、20~64歳群では1.2倍、65~74歳では2.45倍、75歳以上では4.6倍と差が徐々に開いていきます。

 不健康な生活習慣の身体への害は、たとえ、ひとつひとつは多大でなくても時間の経過によって蓄積していきます。生活習慣病の重症化には不健康の度合いとその時間的影響が強く関連することが、今回の患者調査からもよくわかります。

 今回の厚生労働省からの患者調査報告は、従来の手法と異なるため、過去の報告との比較ができません。しかし、以前と比べより妥当性のある手法での調査結果であることも事実です。日本の疾病全体像を把握し、解析することで、今後の日本の医療はどうあるべきかの指針が得られるのではないでしょうか。

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日本生活習慣病予防協会

「一無、二少、三多(※)」のスローガンを掲げ、生活習慣病の予防、啓発を目的に、情報発信、企業との連携活動などを行っております。毎年2月を、全国生活習慣病予防月間とし、テーマを定め、講演会や関連団体、企業との協力関係のもと、全国的な啓発活動を行っています。
保健指導の現場でも役立つ、ポスター・リーフレット等の啓発資材配布などを行っています。
 ※一無:禁煙 二少:少食、少酒 三多:多動、多休、多接

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