-薬・サプリとセルフメディケーション-
⑧薬とサプリメント・健康食品の相互作用に注意
5. 出血が止まりにくくなる
DHA:EPA、魚油+抗血栓薬
魚油には、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)といったn-3系と呼ばれる多価不飽和脂肪酸が多く含まれており、魚油/DHA、EPA含有食品の摂取は、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患予防効果があることが報告されています。
抗血栓薬は、魚油/DHA、EPA含有食品の多量摂取により凝血能が低下することが知られています。
Dイチョウ葉エキス+抗血栓薬
イチョウは、肺疾患、循環器疾患および認知症の人の記憶障害や、めまい、耳鳴りを改善するとして、現在ヨーロッパおよびアメリカでは、認知症、記憶力の増進に多く用いられています。
抗血栓薬とイチョウ葉エキスを併用すると、出血のリスクが高まる可能性が指摘されています。イチョウに含まれる、「ギンコライド」という成分が、血小板活性化因子(PAF)の働きを阻害することによると考えられています。
症 例
アスピリン(抗血栓薬バイアスピリン)とイチョウ葉エキスを1週間毎日併用したところ、突発性の前眼房出血を起こした。
グルコサミン+抗血栓薬
グルコサミンは、甲殻類の殻や、動物の皮膚や軟骨に含まれる成分で、関節痛に悩む中高年に愛用者が多くいます。
抗血栓薬とグルコサミンの相互作用により、出血しやすくなるリスクが指摘されています。
ニンニク・しょうがエキス+抗血栓薬
ニンニクエキスには「強壮作用がある」「抗菌作用がある」などといわれています。しょうがエキスは悪心嘔吐および胃腸不快感の緩和に用いられています。
抗血栓薬との併用は、薬剤の作用を強めるおそれがあり、出血のリスクを高める可能性があります。
症 例
慢性的にワルファリンを服用している女性が、治療目的でショウガを使用したところ、鼻血を呈した。ビタミンKの投与で正常になった。
6. 効きめが低下し血栓ができやすくなる
クロレラ+抗血栓薬
クロレラは、コレステロールや糖質の吸収をおさえたり、免疫力を高めるといわれる成分です。ビタミンKを豊富に含むため、抗血栓薬と同時に飲むと、薬の効力が低下し、血栓ができやすくなります。
* * *
サプリメントや健康食品の中には、医薬品の薬効を強めたり、逆に弱めたりする「相互作用」が生じる可能性のある成分がありますが、影響を与える具体的な量や持続時間等が「分からない」ことも多いのが現実です。
そのため、薬を服用している人がサプリメントや健康食品をとる場合は、その名前(成分)や摂取の状況などをあらかじめ整理して、医師、薬剤師に相談することが大切です。
次回は、身近にも起こる「市販薬の乱用」を紹介します。
これまでの「働く人に伝えたい!薬との付き合い方」
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