-薬・サプリとセルフメディケーション-
⑨身近にも起こる「市販薬の乱用」
厚生労働省の対応
厚生労働省は平成26年に「濫用等のおそれのある医薬品」として、6成分を指定し(令和5年改正)その適正販売に向けた販売者向けガイドラインを示しました。
薬局などで、せき止めやかぜ薬を購入するときに「他の薬局などでも購入していないですか?」や、1個以上の購入を希望した場合に「なぜ複数必要ですか?」などと質問されるのは、このガイドラインに基づくものです。
- エフェドリン
- コデイン
- ジヒドロコデイン
- プロモバレルリ尿素
- ブソイドエフェドリン
- メチルエフェドリン
令和5年2月8日 厚生労働省医薬・生活衛生局長
最近の市販薬乱用問題拡大の現状から、ガイドラインの見直しに関する検討会が開催され、2024年1月に、医薬品の販売制度に関する検討会(とりまとめ)[4]が提示されました。今後、この方向で改正が行われると思われます。
市販品の販売規制案
風邪薬やせき止めなど濫用のおそれのある医薬品(指定6成分含有)
- 20歳未満は対面(オンライン含む)販売が原則
小容量製品 1個のみ販売 - 購入者(20歳未満など)の氏名を記録し、保管
- 20歳以上も複数購入時は理由確認
市販薬の乱用で何が起こるか
咳止め、風邪薬
コデイン・ジヒドロコデイン(オピオイドと同様に中枢神経の抑制作用)やメチルエフェドリン(覚醒剤と同様に中枢神経の刺激作用)といった成分が含有されています。
コデイン・ジヒドロコデインを多量摂取すると、立ちくらみ、めまい、眠気、吐き気、嘔吐、意識消失、昏睡、けいれん発作、呼吸が遅く苦しいまたは呼吸停止になる、などの症状が現れることがあります。長期連用により薬物依存を生じることがあり、さらに連用を中止すると退薬症候(倦怠感)が現れることがあります。メチルエフェドリンは、過度に使用を続けた場合、不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあります。
解熱鎮痛薬・鎮静薬
鎮静効果のあるブロモバレリル尿素が含有されています。
ブロモバレリル尿素は、依存性があるだけではなく、連用を中止すると痙攣発作、ときにせん妄、振戦、不安等の退薬症状を引き起こす恐れがあります。
眠気防止薬(カフェイン製剤)
カフェインは鎮痛薬や風邪薬にも含まれており、一部の「エナジードリンク」にも含まれています。
過剰摂取で悪心、嘔吐、血圧上昇、痙攣、呼吸促進、呼吸麻痺などを引き起こすことがあります。カフェインの過剰摂取による病院搬送や中毒死亡の報道も見られます。
[4]医薬品の販売制度に関する検討会とりまとめ(2024年)(厚生労働省)
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