最近では以前に比べ、起業する保健師も多くなってきているので、起業することに興味を持って尋ねてくる保健師も多いです。

　保健師も独立し、起業するという働き方、生き方もありますが、いつも皆さんにお話することは「今いる現場で輝きましょう！」ということです。

　今いる場所で輝けなければ、どこにいっても輝くことは難しいと私は思います。今の現場の仕事の中で、何かひとつでいいから「私はこれが得意です」というものを身につける事があなたを大きく成長させるはずです。ひとつひとつの保健指導、健康相談、家庭訪問のケースを大事にして個別の健康教育スキルを上げていく。そういう保健師こそが、人の心に響く集団の健康教育ができるというのが私の考えです。

　そして、小さなことでいいので目標を持ち、成功体験を積んで欲しいと思っています。今、みんなが忙しい現場の中で、チームとしてお互いを支え合うことが難しくなっているようですが、弊社の健康教育スキルアップゼミでは、このことを大切にそれぞれの保健師をサポートしています。ゼミ生の現場での報告を聞くと、外部講師の私では到底できない、現場の保健師だからこその企画と実践があり、心から感動して嬉しくなります。

　そして、皆さん自身のプライベートも大切にして下さい。私は3人の男の子を産み育てながら働くワーキングマザーですが、子育てを経験したからこそ、自分も育ち、今の仕事に繋がっていると思うことが沢山あります。また母の介護の体験をしたからこそ、想いを込めて介護予防の講演もできるようになりました。

　つまり、すべての経験が、保健師としての幅を広げ、奥行きを作っていくのだと思います。辛い経験をした人は、これまで以上に人の気持ちに寄り添った健康教育ができるはずです。だからこそ、保健師自身が、自分の生活を、人生を大切に楽しんで欲しいと思います。「保健師の仕事を続けて来てよかった」と思う出来事が必ずあなたを待っているはずです。