オピニオン/保健指導あれこれ
企業で働く保健師のキャリアプランを考える ~攻めの保健師養成を目指して~

No.1 攻めの保健師 看護師&保健師編

保健師(株式会社オフィス・アニバーサリー 、産業医事務所)
久保さやか

私の職業人生は大学病院の特別病室から…

 前回「攻めの保健師 プロローグ」 では、現状の産業保健師の課題を提起し、保健師のキャリアに視点を置きながら、「組織で他者を動かすリーダーシップを発揮し、産業保健師は、どんな価値を提供できるのか。」そんな問いを投げかけました。

 今回は、専門職としてのキャリアである看護師と産業保健師時代を振り返りたいと思います。

 私の職業人生は、看護師として、大学病院の特別病室で勤務する事からスタートしました。特別病室とは、全ての診療科を網羅し、ビックリするような差額ベッド代で、芸能人や政治家の方々が多く入院されていました。

 全科の医療・看護の知識やその対応が求められるだけでなく、VIPへの接遇が重要視されました。立ち居振る舞い、言葉かけ、そういった面でも随分鍛えられました。

 また勉強面にも置いても、大学病院だけあって、しっかり教育されました。事例発表やリーダー研修などの研修もさることながら、学習した内容をどうやって普段の業務に活かすかのか、勉強の仕方そのものについても教わったように思います。

 当時一緒に勤務していた先輩たちは、大学院に通ったり、専門看護師を目指していたり、学習熱心な方が大勢いました。そんな周囲の影響もあってか、5年間の病棟勤務の後、保健師取得を目指し大学へ進学しました。

次は、スーパーマーケットの産業保健師として勤務

 大学卒業後は、スーパーマーケットを中心にした小売業の本社産業保健師として勤務しました。

 そこでは、一般的な産業看護業務だけでなく、社員食堂を活用した食育や、被災地ボランティアの安全衛生管理体制の構築、組織風土調査の実施など、とても幅広い数多くの活動を行いました。

 特に、社員食堂を活用した食育活動では、管理栄養士と連携して、メニューを栄養素別に3色で色分けを行ったり、野菜接種を増やす環境の工夫をしたり。テーブルのPOPに健康コラムを掲載して、「食堂の人」として従業員からも認識されるようになりました。

 徐々に顔見知りの従業員が増えてくると、通りすがりに健康相談を受けることや、健康・医療分野の仕事をしている従業員から、アドバイスを求められたりする事も数多くありました。そういった面では、毎日がとても楽しく、産業保健師として充実して働いていたように思います。

 反面、過重労働やうつ病対策には、とても悩んでもいました。

社運がかかった事業で部署全体が体調不良!!

 とある部署は、新規に通販サイトを短期間で立ち上げるために、何か月間も過重労働者が続出していました。サイトの立ち上げゴールは見えているとの事でしたが、まだまだ業務過多が続くことが想定され、面談対象となった従業員も、あまり体調は芳しくありません。

 それどころか、その上司も強いアルコールを飲まないと眠れない状態となっており、抑うつ傾向も見られました。部署全体が体調不良となっていましたが、社運がかかった事業でもあり、止めることも難しい事態になっていました。

 私が面談をしても、残業は減らせない。出来ることは、病院に行くようにと言う事だけ。

「マネジメント」との出会い
仕事のやり方、マネジメントそのものを変えないと過重労働は減らない!

 そんな日々悩む私に、社内の友人が紹介してくれたのが、TOC(制約理論)という経営改善手法でした。

TOCを基にコンサルタントをしている方からは、こんな質問されました。

「どうして過重労働が起きるの?」
「仕事が沢山あるからです。」

「どうして仕事が沢山あるの?」
「上司が沢山の仕事を指示するからです」

「じゃあ、仕事のやり方、マネジメントを変えないと過重労働は減らないね。」

 当時、産業保健スタッフによる面談も、人事部門による労働時間の管理も、定時帰宅の呼びかけも、過重労働対策は全て実施していました。

 しかし、それだけでは足りない。

 過重労働やそれに起因するうつ病を防ぐためには、仕事のやり方・マネジメントそのものを変えなければならない。

 この「マネジメント」との出会いは、私のその後の職業人生を大きく変える、衝撃的な出来事になったのでした。次回は、その後、なぜ総合職に挑戦したのか。その辺りをお話出来たらと思います。

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