オピニオン/保健指導あれこれ
企業で働く保健師のキャリアプランを考える ~攻めの保健師養成を目指して~
No.3 攻めの保健師 そして今編
保健師(株式会社オフィス・アニバーサリー 、産業医事務所)
2018年11月06日
目標は「人事担当者の役に立ち、力になること」
これまで3回に渡り、私の半生をご紹介しました。いよいよ、最終回の今回は、今の自分と今後について、お話したいと思います。 プロローグでもお伝えしたように、私は今、中小企業の産業保健師と並行して、ビジネスマンを対象にマネジメントやリーダーシップについて教育する、人材育成・組織開発の仕事をしています。 中小企業の保健師としての私の目標は、「人事担当者の役に立ち、力になること」です。前職では、人事部の多忙さを知り、彼らの対応している膨大な課題の中で、産業保健に関するものは、ほんの一部であることも分かりました。 また、当然の事ながら、中小企業に保健師が訪問できる回数は限られ、常勤と同じ対応は出来ません。その様な中で、産業保健師としてどんな活動をしていくか。独自のスタイルを創る必要があります。活動の一例として、人事担当者とのミーティングをご紹介します!
担当する中小企業には、月に2回訪問し、1回は産業医面談の運営、もう1回は人事担当者とのミーティングを行っています。ミーティングでは、病気に関連した従業員を全部洗い出し、現在の状況を確認します。私のそこでの役割は、ファシリテーターとして、対象となった従業員の課題を明確にし、産業医・保健師・人事のうち、誰が関わる案件なのかを整理します。 勿論、その場では、医学的な事も論点になります。しかし、それだけに限定されません。雇用契約等の人事的な手続に関するものや、人材育成に関するもの、制度や体制構築にも及びます。 このミーティングを軸にする事で、人事部内での情報共有も進み、役職者による判断も同時にされるので、うやむやになりがちな話題についても、話が進むようになります。同時に、人事担当者の自発的な対応が増えて来ました。「人事担当者の力になる事」は、その結果として、「人事担当者に力をつける事」に繋がるのだと、実感しています。人材育成・組織開発のお仕事
そして、もう1つの仕事である人材育成・組織開発の仕事。 組織の中でのリーダーに働きかけ、マネジメントのインフラを整備し、機能させるべく、講師としての活動を行っています。コーチングとファシリテーションを活用し、「単なる研修」の位置づけではなく、実際に「業務で実践される」よう、プログラムを運営しています。 受講生たちが、楽しみながらプログラムに参加し、素晴らしい成果を笑顔で報告してくれる場面を見るたびに、これが産業保健の目指すべき方向性なのではないかと思います。今後は、2つの仕事を融合させた形として、ストレスチェックの組織分析の結果とマネジメント研修を組み合わせられないか、試行錯誤中です。 連載の冒頭で、「組織で他者を動かすリーダーシップを発揮し、産業保健師は、どんな価値を提供できるのか。」という疑問を投げかけました。私の今の働き方や仕事の内容は、自分が何のために働くのか、その「意味」の答えそのものです。皆さんは、如何でしょうか。「6つの問い」に答えられますか?
最後に、組織開発をご専門にされている立教大学の中原先生の「6つの問い」をご紹介します。所属組織の目標に対して、以下の問いに、チームやご自身は答えられますか? 【Our story : わたしたちのチームのストーリー】 1.Why do?(なぜ、私たちはやるのか? 私たちは何をめざすのか?) 2.Why us?(なぜ、わたしたちが、やらなくてはならぬのか?) 3.Why now?(なぜ、今なのか?) 【My story:現場のわたしが感じるストーリー】 1.Why do?(なぜ、自分がやるのか? 自分は何をめざすのか?) 2.Why me?(なぜ、わたしが、やらなくてはならぬのか?) 3.Why now?(なぜ、今なのか?)皆さまのご意見お待ちしております!
今後の活動として、産業看護職の皆さんにも、何かお役に立つ事をしたいと考えていますが、まだはっきりとした形が見えて来ていません。この連載をお読み下さった方達と考えていければと思っていますので、是非感想や今後のご要望を頂ければ、嬉しいです。 感想やお問合せはこちらから≫ 株式会社オフィス・アニバーサリー WEBページ 【参考】 ・立教大学経済学部中原研究室「企業で働く保健師のキャリアプランを考える ~攻めの保健師養成を目指して~」もくじ
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