トピックス・レポート
働く人に伝えたい!薬との付き合い方
-薬・サプリとセルフメディケーション-

④くすりの旅:薬効を示すのは飲んだ薬の一部!

子供や高齢者は薬の量を減らさなければならないのは、なぜ?

 子供ではCYPの量は少なく、薬を十分に代謝するのが難しい場合もあります。年をとると酵素活性が低下する[1]ので、子供と同様、高齢者も成人のようにはうまく薬を代謝できません。
 したがって、同量の薬を飲んだ場合には、子供や老人では患部へ運ばれる薬の量(血中濃度)が多すぎることになってしまいます(図2)。このため、子供や高齢者は、体重あたりの投与量を成人よりも少なくする必要があります。

図2.png

図2 子供や老人は薬が効きすぎる

肝臓の細胞における酵素量は、成人(3つ)に比べて子供や老人では少ない(2つ)ため、血液へ戻る薬の量が、成人より多くなる。

喫煙者は薬が効きにくい理由

 タバコの煙の中に含まれるベンツピレンなどは肝臓のCYPを活性化する(量を増やす)ことが知られています。その結果、喘息の薬やうつ病の薬などの場合、その血中濃度が減少し、薬の効果を減弱することが指摘されています。
 喫煙によるCYP増加のため、薬の効果を十分に発揮するためには、非喫煙者の1.5~2倍の用量が必要となること等が報告されています。

図3.png

図3 喫煙者は薬が効きにくい

非喫煙者の酵素(3つ)に比べ、喫煙者では酵素量(4つ)は増加するため、血液へ戻る薬の量が、非喫煙者より少なくなる(薬が効かなくなる)。


[1]「高齢者の加齢による肝臓の薬物処理能力の変化を初めて明確に 臓器の重量と血流量に比例して40歳から年に0.8%低下」(千葉大学)

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