トピックス・レポート
働く人に伝えたい!薬との付き合い方
-薬・サプリとセルフメディケーション-
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④くすりの旅:薬効を示すのは飲んだ薬の一部!
2023年05月01日
狭心症の薬を飲み込んでも効果が現れないのは、なぜ?
肝臓の代謝機能「初回通過効果」が深く関与しています。狭心症の薬として用いられるニトログリセリンは、経口投与では初回通過効果が大きく、薬効が期待できないので、注射あるいは肝初回効果通過を受けない口腔(舌下錠)、鼻腔(噴霧剤)、直腸下部(坐剤)などを投与経路として用いることがあります(参考:第3回「「トローチ」を噛まずに口の中で溶かす理由」)。
コラム:酵素反応
生体内のほとんどの化学変化は酵素(enzyme)というタンパク質によって行われています。
酵素と結びつき変化を受ける物質を基質(反応する物質)といいます。酵素反応は、そのポケットに基質(薬)を取り込み、速やかに化学反応を進行します。
酵素反応の特徴
-
①非常に早い反応速度
反応は非常に早く進行します。たとえば過酸化水素は不安定で、水溶液の中でも分解しますが、肝臓などに含まれる分解酵素(カタラーゼ)では10万倍以上に加速します。 -
②特異性
酵素は、同じような反応でも基質の微妙な違いを識別しています。活性部位の立体構造は、"鍵と鍵穴"の関係にあり、ぴったり合ってはじめて反応します。 -
③穏和な反応条件
多くの場合、酵素の活性が最高になるときの反応は、生体にとって穏和な条件で進行します。
次回は「薬の効果がポケット(受容体)にはまって現れる」メカニズムをご紹介します。
これまでの「働く人に伝えたい!薬との付き合い方」
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