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夫婦の悩みがストレスホルモンを増やす
2013年02月27日

家族やパートナーなど大切な人との関係について悩みや不安を抱えている人は、ストレスホルモンのレベルが上昇しているという調査結果を、米オハイオ州立大学の研究チームが発表した。
「夫婦間の悩み事やストレスに関心をもつ人はたくさんいます。人間関係の基本となるのが家族の愛情であることを考えると、これは自然なことです」と、オハイオ州立大学行動科学研究所のLisa Jaremka氏は話す。 「夫婦間にはさまざまな心配事があります。あなたがパートナーに大切にされているか、それとも拒絶されているかを気にすることは、長期的にみると、体に生理的な影響をもたらす可能性があります」(Jaremka氏)。 研究チームは、平均で12年以上連れ添っている85組の健康な夫婦(平均年齢39歳)を対象に調査を行った。夫婦間の悩みやその他の心配事、睡眠に関するアンケートに答えてもらい、血液検査と唾液検査を受けてもらった。 子供を望んでいる、アルコールやカフェインを過剰に摂取している、免疫性の疾患をもっているなど、はっきりとした健康上の悩みや問題を抱えている夫婦は除外された。 調査に参加した夫婦は、3日にわたり唾液サンプルと血液サンプルを提供した。それをもとに、研究チームはコルチゾールとT細胞のレベルを測った。コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンで、ストレスに敏感に反応して分泌量が増加するので、ストレスホルモンとも呼ばれている。 調査の結果、夫婦の関係や結婚について不安や悩みをもっている人は、そうでない人に比べ、コルチゾールのレベルが11%高く、免疫に関与するリンパ球の一種であるT細胞も22%少ないことがわかった。 免疫とは、体内に侵入した細菌やウイルスを撃退したり、がん細胞が増殖したりしないよう守る仕組みだ。この仕組みに関係する免疫細胞には、ウイルスに感染した細胞を殺すT細胞などさまざまな種類がある。これらは動脈硬化症の発生にも関わることがわかっている。 ストレスが免疫力を低下させることは広く知られているが、人間関係においても例外ではないことが示された。研究に参加した夫婦は、ほとんどはパートナーに対し愛情をもっているが、些細なものも含め悩みや心配事のない夫婦は少数だったという。 「夫婦間や家族について悩みをもっているカップルは多く、それ自体は自然なことです。愛情に関する悩みの多くは、一時的で解決が可能なものが多く、ストレスは不安はウォーキングなどの有酸素運動やヨガを行うことで低減できます。健康上の悩みをもつ人は、医師に適切に相談することが望まれます」と、Jaremka氏は述べている。 Anxiety About Relationships May Lower Immunity, Increase Vulnerability to Illness(オハイオ州立大学 2013年2月11日)
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