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後期高齢者医療を見直し 軽減特例を廃止し「低所得者にも負担を」

 厚生労働省は、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度について、約865万人の低所得者らを対象に保険料を最大で9割軽減している特例措置を、早ければ2016年度から段階的に廃止する方針を明らかにした。
後期高齢者 865万人の保険料を引き上げ
 75歳以上が加入する後期高齢者医療制度では、現在、年金収入が211万円以下であるか、子供などに扶養されていた人を対象に、保険料が最大で9割軽減される特例措置がとられており、今年度はおよそ865万人が対象となっている。

 これについて厚生労働省は、15日開かれた社会保障審議会の医療保険部会で、高齢者にも一定の負担を求めるため、段階的に廃止する方針を示した。

 後期医療の保険料は、加入者全員が負担する部分と、年収で額が変わる部分からなる。低所得者は本来、負担部分が最大7割軽減される。

 2008年4月にはじまった特例では、負担をさらに和らげようと、夫婦世帯で夫の年金収入が年間168万円以下の人などを対象に、年金が年80万円以下の約311万人を9割減、同80万円超から168万円以下の約258万人を8.5割減とした。

 これら特例を廃止することで、単身世帯でみると、元会社員で、年金収入が年80万円以下の人は保険料が月370円から月1120円に3倍に増える。9割軽減されている人は約311万人、8.5割の軽減は約258万人に上る。

 厚労省は今回特例を廃止することで、政府は年間計約420億円の歳出を抑制できると見込む。74歳まで夫に扶養されてきた妻ら約296万人が対象の特例も廃止する方針。これらを合わせると対象者は865万人で、抑制額は年間約811億円となる。

 現役の会社員らの収入に応じて設定している保険料も見直す。現在は保険料の算定基準となる月収の上限を約120万円に定めて、これを超える収入があっても保険料は一律だが、この上限を145万円まで引き上げることを提案した。

 部会では、委員から「急激な負担増とならないよう、慎重に対応する必要がある」などの意見が出た。しかし、特例の廃止そのものは「高齢者にも応分の負担を求めざるを得ない」との認識で一致した。

 厚生労働省は、早ければ2016年度から段階的に廃止するため、年内をめどに具体案を検討することにしている。

第82回社会保障審議会医療保険部会(厚生労働省)

[Terahata]
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