ニュース

老化で増える糖尿病 長寿遺伝子の炎症反応を解明

 2型糖尿病や認知症など、老化にともない増える病気に共通した仕組みのあることを東京医科歯科大学の研究チームが世界ではじめて明らかにした。この仕組みを解明すれば、老化する速度を遅くすることや、老化に伴う病気を治療することが可能になるという。
2型糖尿病に認知症などに共通した発症メカニズムを解明
 加齢に伴い増える「2型糖尿病」や「認知症」、「筋肉量の減少」(サルコペニア)などの病気に、慢性炎症が老化の過程に関わっていると考えられている。しかし、慢性炎症が変化を起こす詳細な仕組みなどは詳しく分かっていない。

 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の下門顕太郎教授と同大学院寄付講座(基礎動脈硬化学)の篠崎昇平准教授の研究グループは、炎症によって生成される一酸化窒素がタンパク質を構成するアミノ酸(システイン)に結合する「S-ニトロソ化」に着目。

 慢性炎症と老化に伴う病気を結ぶメカニズムを明らかにするために、長寿遺伝子として知られるサーチュイン遺伝子の一種である「SIRT1」のS-ニトロソ化に伴う病気との関係について解析した。

 研究チームは、全身性炎症反応などのあるモデル動物と培養細胞を使い、炎症時におけるSIRT1のS―ニトロソ化と炎症、細胞死の関連を調べた。

 その結果、急性炎症や慢性炎症によってSIRT1の働きが弱くなり、炎症や細胞死が起こりやすくなることが判明。炎症で増加したSIRT1のS-ニトロソ化を薬剤や遺伝子操作で減らすと、SIRT1の働きが戻り、炎症反応が部分的に抑えられることを明らかにした。

 研究グループは、「SIRT1の働きを失わせる仕組みを抑えることが、老化する速度を遅くしたり、老化に伴う病気を治療するためには重要となる」と指摘。

 食事で摂取するエネルギー量を減らすカロリー制限を行ったり、赤ワインやブドウなどに含まれるポリフェノールであるレスベラトロールを摂取すると、SIRT1の量は増え老化を遅らせることができる。

 しかし、SIRT1がS-ニトロソ化によって不活化されている場合には、SIRT1の量を増やす方法では効果を得られない。研究チームは「SIRT1のS-ニトロソ化を特異的に阻害する薬剤や方法を開発すれば、老化に伴う病気の新規治療薬・治療方法となる可能性がある」と述べている。

 研究成果は国際科学誌「Science Signaling」のオンライン版に発表された。

東京医科歯科大学大学
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2023年08月28日
極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
2023年08月28日
カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
2023年08月28日
わずか5分の運動でも「がんリスク」を32%減少 無理なく続けられる「新しい運動法」を開発
2023年08月28日
週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
2023年08月28日
高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
2023年08月21日
肥満やメタボが「腰痛」を引き起こす コロナ禍でさらに増加 「腰痛」を改善する運動は?
2023年08月21日
朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
2023年08月21日
アルコールが高血圧の原因に 飲酒量が少ない人も血圧が上昇 2万人弱を調査
2023年08月21日
ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
2023年08月21日
「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶