ニュース
4割に「不眠症の疑い」 睡眠の質を低下させる生活スタイルが定着
2014年11月17日
成人男女の約4割に不眠症の疑いがあることが、製薬企業のMSDが行った調査で明らかになった。就寝時に不安感や憂鬱な気持ちを感じている人は、飲酒やスマートフォンなどの操作で、気をまぎらわしている傾向がある。
睡眠の質を低下させている原因は「ストレス」
同調査は全国の20~79歳の男女7,827人を対象に実施。世界共通の不眠症判定法「アテネ不眠尺度」(AIS)を用いて、不眠症の疑いの有無を確認した。
その結果、「不眠症治療層」(4.6%)、「不眠症の疑いあり層」(38.1%)、「不眠症の疑い少しあり層」(18.4%)、「不眠症の疑いなし層」(38.9%)の4層に分類され、約4割が「不眠症の疑いあり」と判定された。
不眠症の疑いのある人に、日中のパフォーマンスを自己採点してもらったところ、「3割以上ダウンする」との回答が得られた。睡眠の質を低下させている原因は「ストレス」が多く、不眠症の重症度が高いほど「ストレス」がある人の割合も高かった。
加えて、不眠症の疑いのある層は、不眠症の疑いのない層と比較し、特に「不安感」「憂鬱な気持ち」「緊張感」を感じる人の割合が約4倍に上った。
7割が「医師に相談したこと」がない
さらに、就寝前の行動については、不眠症の疑いのある層の約9割が脳の覚醒を引き起こす行動があると回答。具体的には、20代・30代男女で「PC・タブレット・スマートフォン」、70代男女では「テレビ」、40代・50代男性では「飲酒」のスコアが高くなった。
今回の調査結果を受け、睡眠障害が専門の久留米大学医学部の内村直尚教授は「不眠症の疑いがある人たちには、就寝前の行動として、高齢者はテレビ、中年男性は飲酒、若年者はパソコン、タブレット、スマホなどの操作やゲームなどが特徴的にみられた。さらに、就寝時には不安感や憂鬱な気持を感じている人の割合が4倍以上多かった」と指摘。
「ネガティブな気分を紛らわせるためにテレビやスマホに手が伸びるのであれば、まさに悪循環。対人関係のストレス、カフェインの摂取などに加え、寝室まで携帯電話を持ち込むような生活スタイルの定着が日本人の脳をよりいっそう、覚醒状態に追いこんでいる」と述べている。
加えて、全体の約4割を占める「不眠症の疑いあり層」のうち、不眠症の自覚がない人は約6割と過半数を占め、自覚がある人でも約7割が「医師に相談したことがない」と回答した。
これに関し、内村氏は「不眠症は薬では治らないと思っている人が多数派であることも関係する。不眠の治療の選択肢は広がっているので、就寝時だけでなく日中にも不調を感じるようであれば、早めに専門医に相談してほしい」と呼びかけている。
日本睡眠学会 睡眠に関する基礎知識
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「メンタルヘルス」に関するニュース
- 2023年08月28日
- カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
- 2023年08月28日
- わずか5分の運動でも「がんリスク」を32%減少 無理なく続けられる「新しい運動法」を開発
- 2023年08月28日
- 週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
- 2023年08月28日
- 高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
- 2023年08月21日
- 肥満やメタボが「腰痛」を引き起こす コロナ禍でさらに増加 「腰痛」を改善する運動は?
- 2023年08月21日
- アルコールが高血圧の原因に 飲酒量が少ない人も血圧が上昇 2万人弱を調査
- 2023年08月21日
- ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
- 2023年08月21日
- 「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に
- 2023年08月15日
- 軽いウォーキングなどの低強度の運動でも脳を活性化できる 運動で高齢者の認知機能を維持・増進
- 2023年08月15日
- スマホやゲーム機で遊ぶ時間が長いと睡眠障害に 子供の言語力や認知力の発達が低下 食習慣も大切