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小児期のいじめが成人後のうつ病に影響 学校でのいじめに対策
2015年06月11日
18歳の時点でうつ病を発症した若者の3人に1人は、10代のときに受けたいじめが原因で発症した可能性があることが分かった。「学校でのいじめを減らすことで、成長してからのうつ病の発症を減らせる可能性がある」と研究者は指摘している。
青年期のうつ病の症例の30%はいじめが原因
うつ病は稼働所得の低下、社会保障費の増加、医療費の増加などをもたらし、うつ病がもたらす社会的損失が問題になっている。近年では若年者のうつ病の発症が増えているという。
英国のオックスフォード大学の研究チームは、10代の頃に学校で受けたいじめがその後の人生にも悪影響を与え、うつ病の発症が増えることを、大規模調査で明らかした。
英国のブリストル地方で、1万4,500人の男女を対象にした健康状態に関する追跡調査が、1990年代初頭から続けられている。
研究チームは今回の研究で、13歳のときに質問に答えた3,898人を対象に、5年後に再び、うつ病に関する調査を行った。国際的な診断基準(ICD)によりうつ病を判定した。
その結果、分析の結果、13歳時に週に1回以上のいじめを受けたと答えた683人のうち、101人(14.8%)が18歳のときにうつ病と判定された。
いじめを受けた経験のない若者でうつ病の割合は5.5%だった。子どもの頃にいじめを受けることで、成長してからうつ病の割合は3倍に上昇することが明らかになった。
さらに、13歳時の6ヵ月間に1~3回のいじめを受けたことのある1,446人のうち103人(7.1%)がうつ病と判定された。いじめの頻度が低い場合でも、将来にうつの罹患率が上昇することが示された。
また、頻繁にいじめを受けていた人のうち、10.1%はうつ症状が2年以上続いていた。いじめを受けた経験のないグループの中では、うつ症状が2年以上あった若者は4.1%しかいなかった。
「行動障害、家庭でのトラブル、生活上のストレスと同様に、幼少期に受けたいじめは、成長してからのうつ病の発症に強く影響すると考えられます。青年期のうつ病の症例の30%は、いじめが原因である可能性があります」と、オックスフォード大学心理実験学部のルーシー ボウズ教授は言う。
今回の調査は観察研究であり直接的な因果関係は示されていないとしながらも、「うつ病を予防することで得られる便益は大きい。学校でのいじめを減らす介入を行い、犠牲者を減らすことで、成人してからのうつ病の発症を減らせる可能性があります」と、ボウズ教授は指摘している。
Nearly a third of early adulthood depression linked to bullying in teenage years(オックスフォード大学 2015年5月29日)Peer victimisation during adolescence and its impact on depression in early adulthood: prospective cohort study in the United Kingdom(BMJ 2015年6月2日)
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