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大腸がんを人工知能(AI)で検査 見逃しやすいがんを98%の精度で発見

 国立がん研究センターとNECは、人工知能(AI)を用い、大腸がんおよび前がん病変(大腸腫瘍性ポリープ)を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するシステムの開発に成功した。
内視鏡で見逃しやすい大腸がんもAIなら発見できる
 このリアルタイム内視鏡診断サポートシステムは、大腸の内視鏡検査時に撮影される画像で、大腸がんおよび前がん病変をリアルタイムに自動検知し、内視鏡医の病変の発見をサポートするというもの。
 開発したシステムは、画像解析に適した「ディープ・ラーニング(深層学習)」を活用したAI技術と、独自の高速処理アルゴリズム、画像処理に適した高度な画像処理装置(GPU)を用いて、1台のPCで動作するという。これにより臨床現場でリアルタイムに医師にフィードバックできるようになる。

 大腸の場合、がんは前がん病変であるポリープから発生することが明らかとなっており、人間ドックや大腸がん検診で発見された場合は、積極的に内視鏡的摘除が行われている。

 大腸腺腫性ポリープを内視鏡的に摘除することで、大腸がんの罹患率を76%~90%抑制し、死亡率を53%抑制できるという。

 このポリープを内視鏡検査時に見逃さないことが重要だが、肉眼での認識が困難な病変や発生部位、医師の技術格差により、24%が見逃されているという報告がある。

 また別の報告では、大腸内視鏡検査を受けていたにもかかわらず、後に大腸がんに至るケースが約6%あり、その原因は内視鏡検査時の見逃し(58%)、来院しない(20%)、新規発生(13%)、不十分な内視鏡治療による遺残(9%)が挙げられている。
98%の確率で早期がんを発見 内視鏡検査の質を向上
 大腸腫瘍性ポリープは、大腸がんの前がん病変であるため、内視鏡検査時に見つけ出し摘除することで大腸がんへの進行を抑えられる。

 ポリープは内視鏡医が肉眼で見つけられるが、サイズが小さい、形状が認識しにくいなどの場合は、見逃されることもある。

 病変の見逃しを改善し、前がん病変発見率を向上できれば、大腸がんの予防と早期発見を確実に行えるようになる。特に平坦な病変発見が困難な口側の大腸で効果が見込めるという。

 同システムでは、国立がん研究センター中央病院内視鏡科による所見が付けられた約5,000例の内視鏡画像を、NECのAI技術に学習させた。このAI技術を用いて新たな内視鏡画像を解析したところ、98%の確率で前がん病変としてのポリープと早期がんを発見できた。

 AIが人間の視覚をサポートすることにより、より多くの大腸腫瘍性ポリープを発見し、発見率が従来より向上することを期待できる。このポリープ発見率は大腸内視鏡検査の質を示すパラメーターのひとつとして知られており、内視鏡医の検査の質を向上させることもできる。

 大腸内視鏡検査の経験が浅い医師なども、肉眼で発見したポリープ以外に、AIが指し示す部位があればその部位をよく観察することができる。

 今後さらに、国立がん研究センター中央病院と研究所が連携し、肉眼での認識が困難な平坦・陥凹病変をAIに学習させシステムの精度を上げ、臨床試験を行い、日本だけでなく世界での実用化を目指すという。

国立がん研究センター