ニュース
福岡市の「健康先進都市戦略」 人生100年を見据えた新戦略「福岡100」
2017年08月31日
福岡市が「福岡100~人生100年時代の健寿社会モデルをつくる100のアクション~」を発表した。「人生100年時代」の到来を見据えた100のアクションを2025年までに実施する。
保健医療分野における新戦略「福岡100」を開始
日本の高齢化が急速に進む中、高齢者介護に携わる人材の不足が深刻な課題となっている。団塊の世代が一斉に75歳以上になる2025年には、全国で38万人が不足すると国は試算。必要なケアが受けられない高齢者が大量に生まれることが危惧されている。
そうした事態を地域全体のケア力を高めることで乗り切ろうとする試みが、福岡市で始まっている。同市は、保健医療分野における新戦略「福岡100」を開始。寿命延伸に伴う「人生100年時代」の到来を見据え、誰もが100歳まで健康で自分らしく生き続けられる持続可能な社会システムの構築を実現すべく、100のアクションを2025年までに実施する。
同市は、2016年3月に開催された厚生労働省主催の「保健医療2035シンポジウム」で、「保健医療2035推進シティ」の第1号として名乗りを上げるとともに、2017年3月に「福岡市健康先進都市戦略」を策定した。福岡100は、この戦略にもとづくもの。
認知症ケア「ユマニチュード」 コミュニケーションが劇的に改善
この戦略にもとづく先行事業として、認知症の先進的ケア技法である「ユマニチュード」の実証実験を実施。政令指定都市がまちづくりおよび高齢化対策の一環として、ユマニチュードを取り入れることは国内初の試みだ。
ユマニチュードは、知覚・感情・言語によるマルチモーダル・コミュニケーションケア技法であり、「見る」「話す」「触れる」などの実践的技術で構成される。フランスではユマニチュードの研修制度があり、400以上の施設でユマニチュードが全面導入されている。
ユマニチュードには「顔の正面から同じ高さで目を合わせる」「何をしているか実況するように伝える」「腕を上からつかまず、必ず下から支える」などの確立された具体的な技術が含まれており、この技術を用いてケアを行うと、認知症の行動・心理症状としてしはしばみられる暴言・暴力などの症状が起こりにくくなることが知られている。
デジタル技術を駆使して「地域包括ケアシステム」を構築
福岡市は、ICT(情報通信技術)を活用した「地域包括ケア」も実施。住まい・医療・介護・予防・生活支援サービスを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」を構築するために、ICTを活用した情報通信基盤「地域包括ケア情報プラットフォーム」の構築を中心とした「care4FUKUOKA」(ケアフォーフクオカ)プロジェクトを立ち上げた。
市民・団体が楽しみながら健康増進に取り組めるような、新しい製品・サービスを生み出す市民参加型健康プラットフォーム「福岡ヘルス・ラボ」も立ち上げた。
ICTを活用した「かかりつけ医」機能の強化にも乗り出している。『ICTを活用した「かかりつけ医」機能強化事業推進ワーキンググループ』は、平成29年に市内11医療機関の参加を得て事業の実証を開始。 診療時間の効率化や医療の質の向上を図るため、ICTを活用しオンラインで医師と患者をつなぐことにより、地域の医療介護に貢献する「かかりつけ医」機能の強化を目指している。
この事業では、オンラインで医師と患者をつなぐことにより市民の皆様が自宅等に居ながら、「自身の健康を気遣い予防できること」「不安があるときにかかりつけ医に相談できること」「受診が困難な場合でもかかりつけ医と繋がり治療を継続できること」の実現を通じ、年齢を重ねても、健康不安を抱えても、安心して暮らすことができる地域 社会づくりに向けた次世代の地域医療インフラの確立を目指すという。
平均寿命と健康寿命のギャップを減らすことが課題
健康・医療・介護分野に挑戦するスタートアップを「ケア・テック・ベンチャー」と位置付け、支援する枠組みとして「ケア・テック・アライアンス(コンソーシアム)」も創設する。
前述の「福岡ヘルス・ラボ」と連携し、オープンイノベーションにつながるアイデアソンやマッチングイベントなどを実施することで、ICTなどを駆使したケア・テックの開発・事業化を促進する。
福岡100の開始に合わせて開催された記者会見で、同市長の高島宗一郎氏は「100歳まで生きられる現代では、平均寿命と健康寿命のギャップを減らしていくことが一番の課題。そのギャップを埋めるべく、『福岡100』ではさまざまな支援・取り組みを行っていく。高齢化していく人類の大きな一歩になると期待している」と説明し、「国に先駆け、『日本一元気なまち』福岡から社会を変えていく」とコメントした。
福岡100~人生100年時代の健寿社会モデルをつくる100のアクション~(福岡市)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「保健指導リソースガイド」に関するニュース
- 2024年01月18日
-
【アンケート:抽選でAmazonギフト500円プレゼント】
「健康課題」と「健康管理システム/健康支援サービス」の活用について - 2023年11月27日
- 2023年度版【保健指導アトラス】を公開!保健指導に携わる人が知っておきたい法律・制度
- 2023年10月20日
-
インスリン・フォー・ライフ(IFL)グローバル
最近の活動と取組みについて(アリシア・ジェンキンス代表) - 2023年09月15日
- 2023年インスリン・フォー・ライフ(IFL)のウクライナ支援(IDAF)
- 2023年09月12日
- 期間限定40%オフ!「健診・予防3分間ラーニング」DVDセール開催中!2023年10月13日(金)まで
- 2023年07月12日
- 【アルコールと保健指導】「飲酒量低減外来」についてのインタビュー/面談時に30秒でできるアルコール指導ツールの紹介
- 2023年07月04日
- 健康経営の推進に!課題解決に合ったものを探せる「健康管理システム」一覧をリニューアルしました【サイト情報】
- 2023年04月04日
- 【サイト情報】「よろず相談センター」終了のお知らせ
- 2023年02月20日
- 【サンプル提供】間食指導に♪糖類ゼロでおいしい甘さ「パルスイート® カロリーゼロ」&ヘルシーレシピ集
- 2023年02月10日
- 【オピニオン公開中】職域でのアルコール指導・減酒支援、多職種・チーム連携