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新しい「発芽玄米」で脳内「BDNF」が増える 脳卒中や認知症などを予防 国立循環器病研究センター
2018年11月06日

国立循環器病研究センターは、発芽玄米に含まれる健康成分を増加させる方法を開発し、その発芽玄米を継続して摂取することで脳内物質「BDNF」の産生が増えることを、マウスを用いた実験で確認した。BDNFを脳血管疾患や認知症などの予防に活用する研究が行われている。
BDNFの産生を増強する発芽玄米も発売された。
BDNFの産生を増強する発芽玄米も発売された。
「BDNF」が増えると、脳卒中への抵抗性や記憶力が高まる
脳梗塞は発症すると後遺症が残ることが多く、最重度の要介護5の原因疾患の第1位だ。また、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されており、認知症の前段階とされる「軽度認知障害(MCI)」と推計される約400万人を合わせると、高齢者の約4人に1人が認知症もしくは予備群だ。
「BDNF」は、脳由来神経栄養因子とよばれる分泌性タンパク質の一種。BDNF産生量が増加すると、虚血性脳卒中への抵抗性や記憶力が高まり、またうつ症状が軽減することが、これまでの研究で明らかになっている。BDNFを脳血管疾患や認知症の予防に活用する研究も行われている。
BDNFは、「適度で自発的、持続的な身体活動」や「適度で持続的なカロリーの摂取制限」、すなわち「身体をしっかり動かして、腹八分目の生活を続けること」によって増加する。しかし、運動や食事制限を続けられない人も多く、新たなアプローチによりBDNFを増加する手段の開発が求められている。
脳内BDNFを増やす新たな発芽玄米製造法を開発
玄米の発芽過程では、適切な温度と水が必要となる。研究グループは、新たな製造法にもとづき「5-アミノレブリン酸(ALA)」を適切に用いることで、発芽玄米に含まれる「ガンマ-アミノ酪酸(GABA、ギャバ)」が通常の発芽と比べて増加することを明らかにした。
ALAはエネルギーと代謝水の生成に欠かせない天然アミノ酸。動植物で呼吸およびエネルギー変換と水の産生を行うミトコンドリアの代謝を司るヘム/シトクロムの原料となる。また、GABAは白米には殆ど含まれず、発芽時の良好な酵素活性によって胚芽などで産生される。頭部外傷後の記憶力の低下を改善させることを目的とした保険適応を持つ臨床薬の成分でもある。
玄米が発芽するとギャバ量が約3~4倍に増加するが、劣悪な発芽環境や不十分な発芽時間ではほとんど増加しない。新たに開発した発芽手法では、発芽過程でALAを適切に用いることで、発芽反応が一定時間内に十分に進み、より健全に発芽することが明らかとなった。
発芽玄米によりマウスの記憶力が向上
さらに、マウスをマウス用通常食群、同発芽玄米群、従来の発芽玄米(無作為に3種を抽出)群に分け、6週間にわたり飼料として与えた後に、マウスの空間認知学習能力を判定した。
その結果、マウス用通常食で飼育されたマウス群に比べて発芽玄米で飼育されたマウスの成績が有意に高く、この発芽玄米によりマウスの記憶力が向上したことが示された。また、マウスに対してマウス用通常食または同発芽玄米のいずれかの処置後に、脳内BDNF量を測定。その結果、同発芽玄米群のBDNF量が、マウス用通常食群と比較して有意に高いことが示された。
なお、ギャバ以外に発芽玄米に含まれるとされる主な健康成分として、「γ(ガンマ)‐オリザノール」「フェルラ酸」「食物繊維」「玄米乳酸菌」「ビタミンB1」などがある。BDNF産生への影響の観点から、それぞれの栄養素の質と量なども重要な役割を果たす可能性があるという。

脳内のBDNFを増やす「発芽玄米」を発売

独自の発芽技術で栄養ギュッと!「しっかり芽の出た『発芽玄米の底力』」新発売(SBIアラプロモ 2018年10月10日)
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