ニュース

学生時代の運動歴が将来の健康を左右? 大学時代のスポーツ経験が影響

 若い頃に運動をする習慣があった人は、歳をとっても健康である可能性がある。大学生時代のスポーツ歴が、年齢を重ねてからの健康状態に影響するという調査結果を、浜松医科大学が発表した。
 「競技力を向上させることだけでなく、学生時代にスポーツをすることがその後の人生にどのような影響をもたらすかを明らかにする必要がある」と、研究者は述べている。
大学時代のスポーツは影響力が大きい
 浜松医科大学健康社会医学講座の柴田陽介医師と尾島俊之教授らのグループは、30歳以上の男女を対象としたスポーツや運動に関する調査データを解析。学生時代の中でも、特に大学時代のスポーツ歴が将来の健康につながることを明らかにした。詳細は、医学誌「運動疫学研究」に掲載された。

 日本では、学生時代に部活動などでスポーツをする人が多いが、その頃のスポーツ歴が年を重ねてからの健康にどのような影響をもたらすかは不明だ。スポーツによる長期的な健康増進効果が示されれば、将来の健康のために、どの時期にスポーツをすればよいかが分かる。

 そこで今回、研究グループは、運動やスポーツの実施状況を把握する目的で行われたアンケート「スポーツライフ・データ2012」のデータを使って、学生時代のスポーツ歴と現在の健康状態との関連を調べた。解析対象は30歳以上の男女1,714人。現在の健康状態について、良いか悪いかを尋ねた。

 学生時代のスポーツ歴について、小学生、中学生、高校生(15~17歳ごろ)、大学生(18~22歳ごろ、高等専門学校・短期大学を含む)の各時代について、運動部への所属やスポーツクラブなどへの加入の有無を尋ねた。

 その結果、現在の健康状態が良好な人は74.9%、不良の人は25.1%だった。小学生、中学生、高校生、大学生時代にスポーツ歴のある人は、それぞれ33.5%、61.7%、41.3%、22.2%だった。

 現在の健康状態が良い人の割合は、小学生時代にスポーツをしていた群では、していなかった群の1.04倍だった。同様に、中学生時代では1.06倍、高校生時代では0.87倍だった。それに対し、大学生時代では1.77倍と、現在の健康状態が良い人の割合が高かった。

 つまり、小、中、高時代のスポーツ歴は現在の健康状態にあまり影響しないが、大学生時代のスポーツ歴は影響力が大きいことが示された。
 この結果について、研究グループは「学生時代のスポーツに注目した研究は、競技力の向上に関するテーマが大半だが、競技力を向上させることだけでなく、学生時代にスポーツをすることがその後の人生にどのような影響をもたらすかを明らかにする必要があるとしている」と述べている。

 「大学時代にスポーツをしていた人は、その後も運動をする習慣を身につけやすくなる可能性がある。学生の頃の運動習慣が、歳をとってからの健康状態に良い影響をもたらすかもしれない」としている。

 一方で「学生時代のスポーツは、勝敗を競うことを目的とする競技スポーツがほとんど。大学生になると、そもそも競技力に差があるため、新しいスポーツを始めることに二の足を踏むことも考えられる。大学生になってからでも始められるような生涯スポーツの普及が、将来の国民の健康増進につながる」との考えを示した。

浜松医科大学健康社会医学講座
未就学時代および学生時代のスポーツ歴と壮年期以降の主観的健康感の関連(運動疫学研究 2018年9月30日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「保健指導リソースガイド」に関するニュース

2023年07月12日
【アルコールと保健指導】「飲酒量低減外来」についてのインタビュー/面談時に30秒でできるアルコール指導ツールの紹介
2023年07月04日
健康経営の推進に!課題解決に合ったものを探せる「健康管理システム」一覧をリニューアルしました【サイト情報】
2023年04月04日
【サイト情報】「よろず相談センター」終了のお知らせ
2023年02月20日
【サンプル提供】間食指導に♪糖類ゼロでおいしい甘さ「パルスイート® カロリーゼロ」&ヘルシーレシピ集
2023年02月10日
【オピニオン公開中】職域でのアルコール指導・減酒支援、多職種・チーム連携
2023年02月02日
【オピニオン公開中】「ナッジ」を応用した健康づくり 誰もが健康になる社会を目指して
2023年01月04日
【専門職の皆さまへ】特設ページ「アルコールと保健指導」をオープンしました 現場で役立つツールも掲載中
2022年11月17日
あなたと地球の健康のために禁煙を!~市民公開講演会・参加者募集中(参加費無料)~
―全国生活習慣病予防月間2023ー
2022年11月10日
【オピニオン公開中】職域の「禁煙」を確実に進めるために―「喫煙」対策の最新情報と「禁煙」の実践紹介―
2022年11月02日
業務課題は「対象者に合わせた保健指導」がトップに
―保健指導リソースガイド利用者アンケートよりー
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶