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「脂肪の味」は6番目の味覚 味覚に敏感になると食欲を抑えられる?

 これまでに知られている5つの味覚、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」に加えて、第6の味覚「脂肪味」があることが最近の研究で分かってきた。脂肪の多い加工肉や、チョコレートケーキなどのお菓子、ポテトチップなど、脂質を多く含む食べ物が好まれる理由はここにあるかもしれない。
「脂肪味」は第6の味覚
 現代社会では、高脂肪の食品を容易に入手し消費できる。高脂肪の食品を食べ続けることで、脂肪に対して味覚が鈍くなっている可能性がある。そうした場合、高脂肪の食品を食べ過ぎてしまうおそれがある。

 「脂肪味」の感じやすさは体重と関連しているという報告もある。「脂肪味」に敏感な人は、少しの量でも脂肪を感じとれるため、鈍感な人よりも、結果的に脂肪の摂取量が少なくなると考えられている。

 高脂肪の食品は日常であふれ、大量に消費されている。高脂肪の食品を食べ続けることで、脂肪に対して味覚が鈍くなっている可能性がある。「脂肪味」に敏感になることで、高カロリー食品の食べ過ぎを抑えられる可能性がある。

 逆に、この感覚が鈍くなっていると、食べ過ぎを抑えられなくなる。人間の体は食べ物を十分に摂取したと感じると、脳が食べることを止める信号を出して知らせるようにできている。

関連情報
証拠となる神経を九州大学が発見
 食品を見ただけでは脂肪がどれだけ含まれているかを知ることはできない。しかし、脂肪が含まれる食品をおいしいと感じる。どうやって脂肪味を味覚しているのだろうか?

 「脂肪味」への反応が他の味覚から独立してしていて、他の味とは独立して脂肪味を伝える神経があることを、九州大学の研究グループが発見した。「脂肪味」が6番目の味覚であることの新たな証拠になる研究だという。

 研究は、九州大学五感応用デバイス研究開発センターの安松(中野)啓子特任准教授、二ノ宮裕三特任教授らの研究グループによるもの。詳細は、欧州生理学連合の発行する科学誌「Acta physiologica」オンライン版に発表された。

 食べ物を口に入れると味を感じる。そのときの味覚は、舌の味蕾に含まれる「味蕾細胞」で受容されることで生じる。味蕾でキャッチされた味の刺激は、舌の前の方にある「鼓索神経」などを伝わり脳へ入っていく。
脂肪酸の味を伝えるメカニズムを解明
 これまで、げっ歯類の味蕾細胞にGPR40やGPR120といった受容体や、CD36といったトランスポーターが、脂肪酸を受容していると考えられてきた。しかし、人を対象としたこれまでの研究では、脂肪に独自の味があることを証明できていなかった。

 研究グループは今回の研究で、マウスの鼓索神経の単一線維における応答を記録し、脂肪酸に特異的な応答を示す神経線維が全体の約17.9%を占めることを発見。また、甘味やうま味に応答する半数以上が脂肪に反応することを確かめた。GPR120を発現しないマウスはリノール酸とうま味物質のグルタミン酸を区別できなかった。

 この研究は、2型糖尿病や肥満対策に活用できる可能性がある。さまざまな効果によって健康を保つために脂肪酸は必要だ。生体に備わっている脂肪酸の検知システムや、必須脂肪酸を含む脂肪酸が体に選択的に取り込まれるメカニズムを解明できれば、食事をより効果的に改善できるようになる。新たな治療薬の開発にも期待がかかる。
九州大学五感応用デバイス研究開発センター
Fatty acid taste quality information via GPR120 in the anterior tongue of mice(Acta physiologica 2018年10月30日)
[Terahata]
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