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タブレットを特定保健指導に活用 忙しい40~50歳代への実施率向上を目指す
2019年07月23日
iPadなどのタブレット端末を利用した特定保健指導を、静岡市や協会けんぽ富山支部などが開始した。
遠隔指導を取り入れた狙いは、平日の日中に働いている40~50歳代への指導の実施率を向上させることだ。
ICT(情報通信技術)を地域医療・保健に活用する動きは活発になっている。
遠隔指導を取り入れた狙いは、平日の日中に働いている40~50歳代への指導の実施率を向上させることだ。
ICT(情報通信技術)を地域医療・保健に活用する動きは活発になっている。
タブレット端末を特定保健指導に活用
静岡市は、特定保健指導でタブレット端末の活用をはじめた。土・日曜日や自宅でも遠隔面接を受けられるようにすることで、指導実施率の向上をはかる。
静岡市の2017年の特定保健指導の実施率は全体で33.4%で、政令市の第7位。実施率を年齢別にみると40歳代は22.6%は、50歳代は25.8%で、60歳代の40.8%や70歳代の38.0%に比べて低い。
静岡市が配布している資料
市町村国保の加入者に対する指導実施率の目標は60%。タブレット端末による指導の導入で、市は2022年までに全体の実施率を45%まで引き上げることを目標にしている。そのためには比較的若い世代の参加が必須となる。
タブレット端末を使用した遠隔指導の対象となるのは国保の加入者。特定保健指導が必要と判定した人に、無料で端末を提供する。
市から対象者に案内を送付し、希望者に電話で申込みを予約をしてもらい、約束の日時にタブレット端末のテレビ電話機能を利用して面接をする。面接後、タブレット端末を返却してもらい、その後の支援は手紙や電話で行う。
ICT活用による遠隔指導は実用化されている
特定保健指導の「動機付け支援」および「積極的支援」の初回時の支援は、医師、保健師または管理栄養士の直接的な支援によって、対象者を生活習慣改善に向けた行動に向かわせる鍵となるので、指導実施者が直接対象者と対面して実施するのが原則となる。
一方で、ICT(情報通信技術)の活用による遠隔の保健指導により支援を行うことも認められている。その際は遠隔保健指導の効果検証を行うことが義務付けられる。
遠隔保健指導で求められるのは、行動目標・行動計画の策定支援、腹囲・体重の測定方法の指導など、対面と同様の支援を行えるような状態にあることだ。
映像と音声の送受信により、指導実施者と対象者が、相手の表情、声、しぐさなどを相互に認識しながら通話できる状態にすることで、遠隔指導は可能になる。
「映像と音声の送受信に対して、常時安定し、かつスムーズなデータ伝送が可能であること」「映像と音声の送受信に対して、情報セキュリティが確保されていること」も必須条件だ。
仕事が忙しい人にも保健指導を実施できる
静岡市の事業は市の委託を受けたカルナヘルスサポート(福岡市)が実施する。同社は、九州大学と九州電力グループが中心となり疾病管理に関する研究を行ってきた「産学連携プロジェクト」をもとに作られたベンチャー企業。医療機関向けITシステムなどを手がけている。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の富山支部や広島支部でも、タブレット端末を使用した遠隔面談を開始した。
生活習慣病の重症化予防のための保健指導を遠隔により行うことで、保健スタッフが不在の事業所でも保健指導を実施できるようにすることを目指している。
タブレット端末のテレビ電話機能を使い、指導を受ける人のワークスタイルに合わせて、都合の良い場所で特定保健指導を受けることができるようになる。面談実施率の向上につながると期待している。
2017年度の協会けんぽ富山支部加入事業所の特定健診実施率は72.8%だが、特定保健指導の実施率は国の掲げる目標の45%を下回る15.5%にとどまる。
指導は、対象者のいる事業所を保健師らが訪れて面談を行っているが、対象者が仕事が忙しく時間の調整が難しいケースが多かった。そこでタブレット端末やスマートフォン、パソコンを使ったテレビ電話で指導を受ける遠隔面談を導入した。
同支部は、特定保健指導の実施率の向上につながる遠隔面談を加入企業に呼びかける一方で、扶養家族にも対象を広げて生活習慣病の予防につなげたいとしている。
タブレット活用により「見える」化が可能
ICT(情報通信技術)を地域医療・保健に活用する動きは活発になっている。
静岡県焼津市では、タブレット端末を活用した保健指導を2016年に開始した。心筋梗塞や脳梗塞などを発症するリスクが高い対象者に、タブレット端末を使って教材や教育資料を示すことで、保健指導の効果向上を狙っている。
タブレット端末の活用によって、データの迅速な表示、数値ではなく動画を使った「見える」化が可能で、対象者にも分かりやすいのに加えて、資料も簡素化できる。
富山県南砺市では、市内全域に整備されたブロードバンドを活用し、テレビ会議システムを活用した高齢者支援サービスの実証実験を開始。
遠隔指導により、専門家によるより科学的な指導が可能になり、また多くの参加者を得ることで、お互いに高め合う意識が発生し健康意識が向上すると期待されている。
タブレット端末は高齢者も扱いやすく、健康データを可視化することで、健康状態への意識向上および自主的な健康管理促進にもつなげられるとしている。実験に参加した高齢者の声を受けて、「買い物支援」「見守りサービス」機能などのサービスを順次追加していくことも検討している。
タブレット端末を利用して特定保健指導を実施します!(静岡市)健診の後は特定保健指導を受けましょう!(全国健康保険協会(協会けんぽ)広島支部)
特定健診・特定保健指導(焼津市)
テレビ電話「スカイプ」を用いた 高齢者支援事業サービス実証実験を提供開始(南砺市)
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