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「性感染症」のセルフチェックができるスマホアプリを開発 感染の可能性があるときは医療機関の検索も 順天堂大学

 

「STI OMOIYARI」の画面
 順天堂大学医学部の研究グループは、「性感染症」(STI)のセルフチェックのためのスマホアプリ「STI OMOIYARI」(STI おもいやり)のiOS版を開発し公開を開始した。
 性感染症の予防や、感染が疑われる場合の医療機関の受診を促進したり、罹患リスクなどのデータを集積し研究に役立てることを目的としている。
 「STI OMOIYARI」は無料でダウンロードし利用できる。
性感染症は誰でも罹患の可能性がある
感染を予測し医療機関の受診につなげる
 アプリを開発したのは、順天堂大学医学部総合診療科学講座の内藤俊夫教授らの研究グループ。性感染症の予防や、感染が疑われる場合の医療機関の受診を促進したり、罹患リスクのデータを集積することを目的としている。

 性感染症(Sexually Transmitted Infections:STI)は疾患の性質上、受診をためらう患者も少なくなく、それが病状の進行や感染者の拡大につながっている。

 A型肝炎・B型肝炎・ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症などの性感染症は、ワクチンで予防可能であるにもかかわらず、ワクチンの認知度は低く、予防に役立っているとは言えない状況にある。

 とくにHPV感染症は、主には子宮頸がんのことで、ほとんどの女性が50%以上が生涯で1度は感染する可能性のある、ごくありふれた感染症だ。新しい9価ワクチンであれば、HPV感染症を90%予防できるとされているが、日本では2020年7月に承認されたものの、まだ発売されていない。

 HPVワクチンは現在、自治体から接種対象者に個別に接種を勧める積極的勧奨は中断されているが、定期接種としての位置付けに変化はなく、公費助成による接種は可能だ。しかし、そのことを知らない女性が多い。

 さらに、日本でも近年、性感染症の蔓延は問題となっている。梅毒患者は急激に増加しており、また、HIVの新規感染者については、先進国で唯一、増加に歯止めがかかっていない状況にある。
ワクチン接種の機会を逃さないためのカレンダー機能も
 研究グループが開発した性感染症セルフチェックアプリ「STI OMOIYARI」は、性感染症の予防や、受診を促進するとともに、性感染症に罹患した人からより多くのデータを回収し調査することで、今後の予防法や治療法向上へつなげることを目的としている。

「STI OMOIYARI」の主な特徴

(1) 匿名で行える性感染症のセルフチェックアプリ
 性感染症の自覚症状や体の不調などについてアンケートに答えることで、自分が罹患している可能性のある性感染症を確認することができる。

(2) 最寄の検査機関(保健所)が検索できる
 セルフチェックで罹患の可能性があった場合は、郵便番号を入力することで、最寄りの検査機関(保健所)を検索することができる。受診やその後の治療につなげることを目指している。

(3) カレンダー機能
 受診、検査、ワクチン接種の機会を逃すことのないよう管理できるカレンダー機能も使える。

(4) 性感染症への理解を深める教材画面
 主な性感染症の症状や、感染経路などについて、知ることができる教材画面も利用できる。
自分と大切な人を性感染症から守るために
 研究代表者である内藤俊夫・順天堂大学医学部総合診療科学講座教授は、次のようにコメントしている。

 性感染症は罹患してもそのすべてが診断されるわけではありません。多くの方が罹患しても受診をためらったり、罹患していることに気づかなかったりするため、全ての罹患された方を調査することが困難です。

 今回開発した性感染症セルフチェックアプリ「STI OMOIYARI」によってビッグデータが収集できれば、より直接的に性感染症罹患者の推定が可能になると考えられます。

 さらに、すべてのiPhoneユーザーを対象にした研究であることから、性感染症に罹患しなかった被験者の情報も収集されるため、今まで不明瞭であった性感染症罹患者数の推測や性感染症ワクチンの有効性などについても把握することが可能となります。

 自分と大切な人を性感染症から守るために、受診、検査、ワクチン接種、予防を促進し、性感染症の減少に貢献できるアプリを目指しています。

 なお同アプリは、医学研究をサポートする目的で開発されたAppleのアプリケーション専用フレームワーク「ResearchKit」を使用し開発されている。

STI OMOIYARI 性感染症のセルフチェックアプリ(STI おもいやり) 公式ホームページ
STI OMOIYARI 無料ダウンロードページ(App Store)

順天堂大学医学部総合診療科学講座

子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために(日本産科婦人科学会)
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