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「乳がん」を早期発見するための画期的な検査を開発 女性3000人の「マイクロRNA」を測定 臨床試験を4道県で開始

 国立がん研究センターは、乳がんを早期発見するために、血液検査による簡便で精度の高い検査法の開発を目指している。
 このほど、3,000人を対象とした大規模臨床試験を2020年12月から全国4道県(愛媛県、鹿児島県、北海道、福井県)で順次開始すると発表した。
 各検診機関で乳がん検診を受診する人の血液検体を実際に使い、がんなどの疾患にともない種類や量が変動する血液中の「マイクロRNA」を測定する。
乳がんを早期発見するための画期的な検査を開発
 国立がん研究センターは、乳がんを早期発見するために、血液検査による簡便で精度の高い検査法の開発を目指している。このほど、3,000人を対象とした大規模臨床試験を2020年12月から全国4道県(愛媛県、鹿児島県、北海道、福井県)で順次開始すると発表した。

 がん検診に適した検査には、▼健康な人(症状のない人)の中から早期のがんを発見する、▼早期治療により死亡率減少につなげる、▼検診を行うことによる不利益が小さく抑えられる、▼安価に検査できる――といったことが求められている。

 血液検査によるがん検診は、手軽で侵襲性が少ないことから、開発が期待されている。たとえば、現行のがん検診の手法にはX線を使うものがあるが、血液検査であれば、X線の被ばくを減らせるなど、検査時のさまざまな負担が軽減できる。

 しかし、血液検査によるがん検診の精度については、基礎研究ではすでに報告されているものの、臨床試験での検証はまだ十分に行われていない。

 そこで、今回の試験では、「マイクロRNA」をマーカーとした血液検査によるがん検診の精度が検証される。この血液検査が乳がん検診での応用につながることが期待されている。

 「マイクロRNA」は、体の中で遺伝子やタンパク質を制御している20塩基程度の短い核酸分子で、血液中にも安定に存在していることが知られている。

 最近の研究で、血液中の「マイクロRNA」の種類と量を調べると、肺がんや乳がんなどのさまざまながんを早期に見つけられる可能性のあることが分かり、新しい診断マーカーとして期待されている。

 この臨床試験は、同センター中央病院バイオバンク・トランスレーショナルリサーチ支援室の加藤健室長らの研究グループを中心に、国立国際医療研究センター、東京医科大学、日本対がん協会、東レの研究者と、北海道、福井県、愛媛県、鹿児島の各日本対がん協会支部、がん専門病院、大学病院などの協力を得て実施される。

関連情報
乳がん検診を受診した女性3000人のマイクロRNAを測定
 既存の検診手法が確立している場合は、その手法と比較して、評価することも必要だ。乳がんの検査では、マンモグラフィー検査や乳腺エコー検査が行われることが多い。今回の試験では、マイクロRNAがんマーカーの測定が、こうした従来の検査法に比べ正確であるかも調べられる。

 試験で用いるのは、各検診機関で乳がん検診を受診する人の血液検体だ。がんなどの疾患にともない種類や量が変動することが明らかになっている血液中の「マイクロRNA」を測定する。

 血液中のマイクロRNA量は、抗がん剤の感受性の変化や転移、がんの消失などの病態の変化に相関するため、全く新しい疾患マーカーとして期待されている。

 マイクロRNAの測定には、13種類のがんを対象にした「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発」(2014~18年度)で開発された診断モデルと検出技術が用いられる。

 各検診機関で乳がん検診を受診する40~69歳で、文書による同意が得られた女性3,000人(マンモグラフィーで要精検と判定された2,000人、精検不要と判定された1,000人)が登録目標とされている。

 この検証試験の詳細については、国立がん研究センターのホームページに掲載されている。

 国立がん研究センターでは、日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業「血中マイクロRNAがんマーカーの検診コホートにおける性能検証研究」などを実施している。

 これらの研究は、乳がんや大腸がんなど13種類のがんを1回の採血で発見できる次世代診断システムの基盤開発のため実施している。これまで、同センターや国立長寿医療研究センターの患者に協力してもらい、検体を提供してもらい研究を重ねた結果、胃がんをはじめ多くのがんで90%以上の確率でがんを判断できることを突き止め、論文として発表している。

国立研究開発法人 国立がん研究センター

乳がんや大腸がんを1回の採血で発見―マイクロRNAに着目した診断技術を開発へ―(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
[Terahata]
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