裸眼視力が1.0未満の者の割合が高校で7割超え-「令和6年度学校保健統計」より

文部科学省はこのほど、令和6年度学校保健統計を取りまとめ、公表した。学校における幼児、児童及び生徒の発育及び健康の状態を明らかにすることを目的に、毎年定期的に行われている。
裸眼視力が1.0未満の者の割合が高校で7割を超えたことや、虫歯の割合が幼稚園から高校まで、いずれの段階でも過去最少となったことなどが明らかになった。
令和6年度の調査は幼稚園や幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、高等学校等に通う満5歳から17歳までの一部を対象に実施した。調査事項は身長、体重などの発育状態と、疾病・異常の有無などの健康状態。
健康状態については、裸眼視力1.0未満の者の割合が、小中高で過去最大となった(調査時期の異なる数値を含んでいる影響があると考えられる令和2年度から5年度は除く、以下同様)。小学校が36.84%、中学校が60.61%、高校が71.06%と学校段階が進むにつれて高くなっている。年度推移を見ると上昇傾向にあり、特に高校生は初めて7割を超えた。
日本眼科医会は1月に開いた日本眼科記者懇談会で、児童生徒の近視実態調査について説明。同調査では、裸眼視力1.0未満の多くが近視であることが示唆されている。また視力低下や近視の予防として「屋外で過ごすことを増やすこと」と「できる限り、近い所を見る作業は短くすること」が重要であることもわかっている。
近視はメガネなどで矯正すれば視力が回復すると思われているが、さまざまな疫学データの蓄積から近視が将来の目の病気のリスクを高める可能性があると考えられるよという。
そのため近視の発症や進行の予防のためには「自分の目は自分の目で守る」意識向上が必要だとして、文科省は子ども向けの啓発資料を作成。「できるだけ外で遊ぼう」「長い時間、近くを見続けないでね」と呼びかけている。また日本眼科医会のHPでも、子どもの目の健康啓発資料として冊子や動画を公開している。
一方、虫歯(う歯)の割合は、幼稚園から高校までいずれの段階でも過去最少となった。具体的には幼稚園が20.74%、小学校が32.89%、中学校が26.50%、高校が34.70%。
発育状態調査を見ると、肥満傾向児(肥満度が20%以上の者)の割合は男女ともに9〜12歳で高かった。特に男子は9歳以降で1割を超え、最も多かったのは11歳の13%。女子は11歳で10.02%だったが、それ以外の年代では10%を下回っている。
一方、痩身傾向児(肥満度が-20%以下の者)については、男子が7歳と9〜17歳、女子が8・9歳と14〜17歳で過去と比べて最も多い割合となった。
学校保健統計調査-令和6年度(確定値)の結果の概要(文部科学省) 第29回日本眼科記者懇談会発表資料「児童生徒の近視実態調査について」(文部科学省/2025年1月28日) 子どもの目・啓発コンテンツについて(日本眼科医会)

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