ニュース

問題化する若者の「オーバードーズ」 市販薬を乱用目的で使ったことがあるという回答は1.6%に 厚労省が啓発資料を作成

 近年、規定量を超えて医薬品を服用する「オーバードーズ(OD)」が、若年層を中心に社会問題となっている。

 市販のかぜ薬や咳止め薬を、本来の目的である症状を抑えるためではなく、感覚や気持ちに変化を起こすために大量に服用するもので、高校生の約60人に1人が市販薬を乱用目的で使ったことがある、と回答した調査もある。

 医薬品の過剰摂取はさまざまな健康被害を引き起こし、やめられなくなる恐れもあることから、厚生労働省では啓発を強化している。

全体の1.6%が市販薬を乱用目的で使用した経験がある

 国立精神・神経医療研究センターが、2021年に実施した「薬物使用と生活に関する全国高校生調査」によると、「治療ではなく乱用(気分を変えるために決められた量や回数を超えて使用すること)目的で市販薬を使用した経験がある」と答えた高校生は、全体の1.6%(男子1.2%、女子1.7%)だった。割合に換算すると約60人に1人になる。

出典:一般用医薬品の乱用(オーバードーズ)について(厚生労働省)

 全国の精神科医療施設における薬物依存症の治療を受けた10代患者の「主たる薬物」の推移を見ても、「市販薬」の割合が増加し、2020年には半数を超えていることがわかる。

 市販薬は覚醒剤や大麻などとは異なり使用は違法ではなく、医師の処方箋がなくても薬局(ドラッグストア)などで手軽に購入できる。さらにインターネットやSNSで乱用に関する情報を入手しやすくなっていることなどが背景にあると考えられている。

 こうした状況を受け、厚生労働省では、「学校薬剤師・地区薬剤師会を活用したOTC濫用防止対策事業」として、市販薬の乱用防止を目的とした啓発用資材(冊子・動画)を作成。いずれもオーバードーズの危険を伝える内容で、小学生と中高生向けに分けてイラストや漫画、動画をふまえてわかりやすく伝えている。

 また薬局や薬店で市販薬を販売する薬剤師や登録販売者を対象に、「ゲートキーパーとしての薬剤師等の対応マニュアル-OTC医薬品を販売する薬剤師・登録販売者、及び学校薬剤師向け-」も公開した。市販薬の乱用に苦しむ人たちを適切な支援先につなぐことを目的としている。啓発資材は、厚生労働省HPやYouTubeで公開している。

一般用医薬品の乱用(オーバードーズ)について(厚生労働省)
「市販薬の乱用防止を目的とした啓発関連資材(厚生労働省/2025年2月20日)
「薬物使用と生活に関する全国高校生調査(2021)」(国立精神・神経医療研究センター)
[yoshioka]
side_メルマガバナー

「学校保健」に関するニュース

2025年08月21日
令和7年(1月~7月)の自殺者は11,143人 前年同期比で約10%減少(厚生労働省)
2025年07月28日
日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
2025年07月22日
【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
2025年07月08日
【熱中症予防】エアコンを適切に使えず死亡した高齢者の特徴を明らかに どうすれば防げる? 今年は昨年以上の猛暑に
2025年07月08日
「大人の食育」を強化 人生100年時代の食育には地域や職場との連携も必要-令和6年度「食育白書」より
2025年07月07日
子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
2025年07月01日
東京糖尿病療養指導士(東京CDE) 2025年度申込を受付中 多職種連携のキーパーソンとして大きく期待される認定資格
2025年06月30日
【タバコの害の最新情報】加熱式タバコや電子タバコも肺の炎症の原因に とくに女性は受動喫煙の影響を受けやすい
2025年06月24日
保健指導にも利用できる「プチ瞑想実践ガイド」を公開 心の安定や集中力の向上などを期待 東京都健康長寿医療センター
2025年06月23日
昼寝が高血圧・心臓病・脳卒中のリスクを減少 ただし長時間の昼寝は逆効果 規則的な睡眠スケジュールが大切
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶