出生数は「過去最低」70万人割れ 想定以上のペースで進む少子化 支援制度に課題-「2024年人口動態統計」より

厚生労働省が6月に発表した「令和6年(2024) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」では少子高齢化が進行する様子が明らかになった。
特に出生数の落ち込みが著しく、今後、さらなる対策が求められる。厚生労働省が6月に発表した人口動態統計で明らかになったのは、2024年の出生数が68万6061人で、過去最低だったことだ。前年は72万7288人だったので、4万1227人減少した。
出生数が初めて100万人を割り込んだのは2016年だったが、以降も減少に歯止めがかからず、とうとう70万人を下回ってしまった。国は5年ごとに将来推計人口を発表しているが、推計より早いペースで少子化が進んでいる。
2024年の出生数を母の年齢別で見た場合、どの階級でも前年より減少していた。
出生数が143万1577人だった1985(昭和60)年と比べた場合、20代で出産する母親が大きく減少している一方、35歳以上の母親の出生数は増えている。特に40代以上の母親による出生数が大きく増えており、高齢出産の傾向が強まっていることがわかる。
第1子出生時の母の平均年齢も1985年は26.7歳だったのに対し、2024年が31.0歳だった。
東京都の調査では、最初の子どもを何歳までに欲しいかという問いについて、半数近くが「26〜30歳」と答えている。しかし現実には20代の出生数が少ないことから、東京都福祉局は「20代で知っていたい、と思うこと。」という特設サイトを開設し、妊娠や出産が年齢を重ねるほど難しくなる、ということを紹介している。
また経済的な事情で出産を諦める人もいることから、東京都では育児用品や子育て支援サービスなどを提供する出産・子育て応援事業も行っている。
一方、企業にも仕事と出産・育児の両立を支援する制度の充実はもちろん、休暇をとりやすい職場づくり、子育てしながら働ける環境づくりなども喫緊の課題として求められている。
2024年の死亡数は160万5298人で、前年より2万9282人増加した。死亡数は2003(平成15)年に100万人を超えて以降、増加傾向が続いている。人口千対の死亡率は13.3で前年の13.0より上昇。年齢階級別に2024年の死亡数を見ると、8割が75歳以上だった。
2024年の死亡者の死因については、第1位は悪性新生物<腫瘍>で38 万4099人。続いて心疾患(高血圧性を除く)22万6277人、老衰20万6882人、脳血管疾患で 10万2808人などが多かった。
主な死因の構成割合を見ると、最も多い悪性新生物<腫瘍>は23.9%。死因別の死亡率は1981(昭和56)年に、それまで一番多かった脳血管疾患を抜いてからずっと1位となっている。
年齢別に死因を見ていくと、男性の場合、最多の死因は5〜9歳および45〜94歳は悪性新生物<腫瘍>だが、10〜44歳は自殺、95歳以上は老衰だった。女性は5〜9歳および35〜89歳は悪性新生物<腫瘍>だが、10〜34歳は自殺、90歳以上は老衰だった。
また、悪性新生物<腫瘍>が死因となるピークの年齢は、男性が 65~74 歳、女性が 55~59 歳で男女差がある。
悪性新生物<腫瘍>が死因となったケースを主な部位別に比較すると、男性で最も多かったのは「肺」だった。1993(平成5)年以降、1位が続いており、2024年の死亡数は5万2330人だった。一方、女性で最も多いのは「大腸」で、2003(平成15)年以降、1位となっている。
令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省) 日本の将来推計人口(全国)(国立社会保障・人口問題研究所) 「20代で知っていたい、と思うこと。」(東京都福祉局) 東京都出産・子育て応援事業~赤ちゃんファースト~(東京都福祉局)

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