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代替塩は高血圧患者にもあまり利用されていない

 代替塩の利用率は、高血圧の患者の間でもそれほど高くないという実態が、米国心臓協会(AHA)の科学セッション(AHA Scientific Sessions 2025、9月4~7日、ボルチモア)で報告された。
 米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのYinying Wei氏らの研究によるもので、同氏は「代替塩は安価で、治療抵抗性の高血圧においても血圧コントロールの効果的な戦略となり得る。それにもかかわらず、米国の成人全体で代替塩を使っているのは6%足らずだ」と話している。

 本研究の背景説明によると、「代替塩はナトリウムの一部または全部をカリウムに置き換えたものであり、通常の食塩に味が似ている」という。
 一方、通常の食塩については、米クリーブランド・クリニックによると、「水分を引きつけるように作用するため、循環血液量が増加して血圧を上昇させることがある」とされている。

 この研究では、2003~2020年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いて、米国における代替塩の利用状況が検討された。
 解析対象は18歳以上の成人3万7,080人(女性50.6%)で、高血圧(130/80mmHg以上)の有無や降圧薬使用の有無に基づき、コントロールされている高血圧患者、コントロール不十分な高血圧患者、未治療の高血圧患者、および正常血圧者という4群に分類された。

 解析の結果、対象者全体の代替塩の利用率は低調に推移しており、2013~2014年には5.4%まで上昇していたが、その後2017~2020年には2.5%まで低下していた。
 なお、2020年のデータ収集は、新型コロナウイルス感染症パンデミックのため、3月以前に中止されていた。

 代替塩の使用に伴う懸念のない成人(腎機能が正常、かつ血中カリウム濃度に影響を与える薬剤やサプリメントを服用していない人など)に絞って解析しても、利用率は2.3~5.1%という低い範囲で推移していた。
 利用率が最も高い集団は、降圧薬により血圧がコントロールされている高血圧患者であり、3.6~10.5%の範囲だった。
 降圧薬服用にもかかわらず血圧が十分コントロールされていない高血圧患者の利用率は3.7~7.4%で、未治療の高血圧患者および正常血圧者の利用率は一貫して5.6%未満で推移していた。

 この結果についてWei氏は、「過去20年間、高血圧患者を含め、代替塩の利用は一般的と言えない状況が続いていた。血圧が適切に管理されていない人でさえ、大半は通常の食塩の摂取を続けていたということだ」と総括している。

 本研究には関与していない、同医療センターのAmit Khera氏は、「報告されたデータは、血圧を改善する上で重要でありながら見逃されがちな方法、すなわち代替塩の使用促進という課題を浮き彫りにしている」と論説。
「代替塩がほとんど使われないという状況が改善されないまま20年経過してしまった事実は驚くべきことだ。高血圧患者と医療提供者は、代替塩に関心を寄せる必要があるのではないか」と付け加えている。

 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

(HealthDay News 2025年 9月 5日)

原文

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Photo Credit: Adobe Stock

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