オピニオン/保健指導あれこれ
産業保健師と保健指導

No.1 産業保健師と保健指導とは?

大神労働衛生コンサルタント事務所 代表
労働衛生コンサルタント(保健衛生)
保健師
大神 あゆみ
 「産業保健師」も「保健指導」も、保健師自身は当たり前のように使うことの多い「要」のキーワードですが、同職種間・異職種間問わず多義的な解釈により、誤解を招く実態があります。たとえば、「『産業保健』と言わず『企業保健』ではまずいの?」とか「保健指導は他の職種でもできるよね?」「服薬治療に至らないまでも生活習慣病の人への指導のことだよね?」など。どれも実際に同職種から耳にした話です。

 迷った時には基本(原典・成り立ち)に遡ります。これは大原則です。自分の知る実態は、物事の一側面に過ぎないことが多いからです。

 「保健師」の資格は昭和16年に制定された70年以上の歴史を持つ国家資格です。当時、国家資格とされる保健医療専門職の職種の数は医師・保健師・助産師・看護師くらいと数少なったものです。第2次世界大戦を挟み、その7年後にGHQによる戦後医療改革の中で昭和23年に制定された「保健師助産師看護師法」に、保健師の職務が記載されました。「保健師とは厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者」。従来、保健師養成を専門としていた教育機関では、この法令と併せて憲法第25条を念頭に置いた保健活動の推進を教育の主軸にしていたと聞きます。憲法第25条は社会保障と公衆衛生の考え方が明記されたものです。

 つまり、これらの文脈から考えると、当初意図されていた「保健指導」は、医師の業務である診断と治療と区別されるかのように便宜的に定義されたものであり、「公衆衛生=“人々が生ききる”ための助言や支援およびそれらから発展させた公的な施策化」が包含されたものと解釈できます。

 実際、大先輩である保健師から引き継いできた職能を思い起こすと、(1)アウトリーチ(求められなくても現場に出向き、平常時の状況を把握しながら、緊急時には介入できるようにする),(2)ネットワーク化や組織対応(健康課題解決のための専門職の連携のみならず、自助グループの育成やそのネットワーク化への関与),(3)具体的事象から集団課題の発見やその解決のための道筋づくり、施策化といった「看護」の職能だけでは説明しがたい非常にユニークな活動方法がありました。これらは表現方法が異なっても、日本の風土に適した公衆衛生活動として成果を上げてきた実績があります。

 保健師は、これらの活動方法も包含された「保健指導」を忘れてはいけません。狭義の定型化された「疾病対策型・疾病性の減少」のみの「保健指導」では、(1)新規健康課題への対策は後手になり、(2)人々の全体的な生きづらさといったマージナルで学際的な視点は欠如しやすく、(3)個別指導の寄せ集めではコミュニティ・組織形成を基盤とする公衆衛生につながるとは到底思えないからです。

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