オピニオン/保健指導あれこれ
「外国人小児の発達の遅れ・発達障害に関する早期発見・早期支援モデルの構築」の研究を通してわかったこと

No.3 『日本で暮らす外国にルーツを持つ子ども・子育て支援サイト』の内容紹介

福岡国際医療福祉大学 看護学部看護学科 准教授
森山 ますみ
 今回は、『日本で暮らす外国にルーツを持つ子ども・子育て支援サイト』をご紹介します。このウェブサイトを開設した目的は、外国をルーツに持つ子どもたちの健やかな成長を促すべく、子どもの母親・家族、保健医療職福祉職を支援する情報を利用しやすい形で提供することです。

 ウェブサイトには二つの入り口ページがあります。

 「子どもの保護者の皆様」のページは、英語・中国語・インドネシア語・タガロク語・ベトナム語・ベンガル語・ネパール語・ミャンマー語・ポルトガル語・スペイン語の10言語で情報を提供しています。

 もう一つの、「保健医療福祉職の皆様」のページは、(1)外国人が母語で読める資料と、(2)在留外国人の出身国の情報が掲載されています。

(1)外国人が母語で読める資料には、生活・就労、母子健康手帳、妊娠・出産、予防接種スケジュール、親と子どもの健康チェック(問診票)、子どもの発達などの情報を提供しています

(2)在留外国人の出身国の情報はに、発表者らの調査結果に加え、多文化医療サービス研究会の「各国の医療と文化に関するレポート」等の情報が提供されています。

 私どもにとっての今後の課題は、ウェブサイト上での利用度評価や外国人保護者や保健師の方々への聞き取り調査等を行って、ユーザビリティとアクセサビリティを分析し、さらに改善していくことです。どうか、ご意見やご要望をお聞かせください。

サイトの4つの特徴

 私どもは、2017年から5年間にわたって科学研究費助成事業の助成(JP17H044710001)を受け「外国人の出身国および我が国のEarly Childhood Development(以下、ECD)事情のデータベースの作成」と題する研究を行っています。

 研究の一環として、ウェブサイト『日本で暮らす外国にルーツを持つ子ども・子育て支援サイト』を2020年4月に開設することができました。この開設にお力をお貸しくださったたくさんの皆さんに、この場をお借りして、心からお礼申し上げます。

 ウェブサイト開設の目的は、外国をルーツに持つ子どもたちの健やかな成長を促すべく、子どもの母親・家族、保健医療職を支援する情報を利用しやすい形で提供することです。ウェブサイトの特長は4つあります。

 ①ECDデータベースに基づき、研究者らによる在留外国人の主要出身国の調査の結果と国内の諸団体・組織が提供している情報を整理して作成されている。
 ②子どもの保護者と保健医療福祉職の両方に有用情報を提供している。
 ③「保健医療福祉職の皆様」のページには、外国人が母語で読める資料と在留外国人の出身国の情報への00入り口を設定している。
 ④「子どもの保護者様」のページは、英語・中国語・インドネシア語・タガロク語・ベトナム語・ ベンガル語・ネパール語・ミャンマー語・ポルトガル語・西語の10言語によって情報を提供している。

サイトの掲載情報

 最初のページは下記のとおり表示されます。

 「子どもの保護者の皆様」、「子どもと保護者を支援する保健医療福祉職の皆様」の2つの入口を設けております。「子どもの保護者の皆様」のページは、英語・中国語・インドネシア語・タガロク語・ベトナム語・ベンガル語・ネパール語・ミャンマー語・ポルトガル語・スペイン語の10言語で情報を提供しています。

 現在、「子どもと保護者を支援する保健医療福祉職の皆様」をクリックすると、「外国人が母語で読める資料」「在留外国人の出身国の情報」「広報用チラシ」の3つの入口が表示されます。今後、「外国人集住自治体の妊娠・出産・子育てのウェブサイト」の入り口を追加します。

 また、「子どもと保護者を支援する保健医療福祉職の皆様」の中の「外国人が母語で読める資料」をクリックしますと、下記のように項目が表示されます。

 「子どもの保護者の皆様」で始まる部分には、「生活・就労ガイドブック」「子育てチャート」「母子健康手帳」「すこやかな妊娠と出産のために」「ママとあかちゃんサポート:妊娠・出産について情報」「予防接種スケジュール」「子どもの発達」という項目があります。

 また、「産前・産後確認シート」「新生児訪問及び赤ちゃん訪問 訪問員用コミュニケーションツール」「予防接種と子どもの健康 2021年度版」「親と子どもの健康チェック(問診票)」「多言語医療問診票」は、保健医療職の方々が支援の際に使用なさるものと判断し、保健医療福祉職のサイトで紹介しております。

「子どもの保護者の皆様」からはじまる各項目紹介

 それでは各項目についてご説明します。まず、「生活・就労ガイドブック」では、出入国在留管理庁の外国人生活支援ポータルサイトにある生活・就労ガイドブックを紹介しております。

 「子育てチャート」では、(公財)かながわ国際交流財団様が制作された『外国人住民のための日本の子育てシリーズ』の7言語(字幕)の動画、外国人住民の妊娠から子育てを支えるガイドブック~『母子保健・子育て支援でできる多文化共生の4つのカギ』を紹介しています。

 「母子健康手帳」では、専門職・支援者の方は母子衛生研究会HPから、一般の方は「妊娠・育児の応援ショップ本の楽育まんてん堂」のHPから9か国語の母子健康手帳が購入できることを紹介しております。母子衛生研究会が現在ネパール語版を作成中であり、完成次第、その情報もアップします。

 「すこやかな妊娠と出産のために」では、厚生労働省が作成した『すこやかな妊娠と出産のために』と題するリーフレットの13ヶ国語の翻訳版を紹介しております。

 「ママと赤ちゃんのサポート:妊娠・出産について」では、多文化医療サービス研究会様が作成された12言語の『ママと赤ちゃんのサポートシリーズ』を紹介しております。

 「予防接種スケジュール」では、特定非営利活動法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」によって作成された予防接種スケジュールを紹介し、作者の方のご許可を得て、最新版を15カ国語に翻訳して活用できるようしました。私どもの研究グループが10言語を翻訳し、フランス語、アラビア語、ウルドゥー語、トルコ語、ペルシャ語の5言語は、「イスラーム・ジェンダー学と現代的課題に関する応用的・実践的研究」グループが翻訳してくださいました。

 「子どもの発達」では、国立リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センターが作成された『お子さんの発達について心配なことはありますか?日本で子育てをする保護者の方へ』のパンフレットを紹介しております。このセンター、私どもの研究グループ、「イスラーム・ジェンダー学と現代的課題に関する応用的・実践的研究」グループで15言語に翻訳し、各言語で読めるようになっています。

「親と子どもの健康チェック」(問診票)と「在留外国人の出身国に関する資料」

 以前の研究で、外国人集住自治体の保健センターの中に、外国語版の問診票を使用していないところがあることが判明しました。そこで、乳幼児健康診査で活用できるよう、「健やか親子21」の中の「親と子の健康度調査アンケート」を作成なさった山縣先生のご承諾を得て、問診票を翻訳しました。

 「親と子どもの健康チェック」をクリックしますと、3~4か月、1歳半、3歳児の乳幼児健診で使用できる、10カ国語に翻訳した、『親と子どもの健康チェック』(問診票)が掲載されています。

 縦軸が子どもの月年齢、横軸が言語です。例えば、縦「3歳児」、横「ベトナム語」をクリックすれば、ベトナム語の3歳児の問診票PDFが表示されます。ダウンロードして使用可能です。

 また、「在留外国人の出身国に関する資料」の項目では、発表者らの調査結果に加え、多文化医療サービス研究会の「各国の医療と文化に関するレポート」等の情報を提供しています。

 「在留外国人の出身国に関する資料」をクリックすると、最初に下のように表示されます。現在、各国の情報を収集しております。まとまり次第、アップしていきます。

より多くの方に情報を届けるためにチラシを活用

 『日本で暮らす外国にルーツを持つ子ども・子育て支援サイト』について、チラシもございます。「子どもと保護者を支援する保健医療福祉職の皆様」の中の「広報チラシ」から入手可能です。チラシにはQRコードを入れてスマホからアクセスできるようにしました。

 2020年8月、特定非営利活動法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」が自治体に郵送する資料にチラシを同梱させていただき、1741の自治体に送付しました。

 2020年10月末までにチラシ希望との連絡をしてきた自治体には希望数のチラシを送付すると公表したところ、126の自治体から連絡があり、1390部を送付しました。

 加えて、外国人集住自治体の保健センター461か所と外国人母の情報探索行動の調査でご協力いただいた研究協力施設83か所に全部で855部を送付するなど、紙のチラシは今までに合計21,141部を送付しました。

 そのほかにも、外国人集住自治体の保健センターや外国人支援団体からもお電話やメールで連絡をいただき、チラシの部数が不足したときはコピーや印刷をしてくださってもかまわないことをお伝えしました。とにかく、どのような方法であれ、ウェブサイトの情報を一人でも多くの方に知っていただきたいと思っています。

▼チラシのダウンロードはこちらをクリック!

 最後に、『日本で暮らす外国にルーツを持つ子ども・子育て支援サイト』の活動の成果と今後の課題を述べます。成果としては、外国人保護者様と保健医療福祉職様に妊娠期・出産・子育て関する情報や資料を多言語で提供することができたことです。

 多様な情報を提供し、保護者の母語で読めるようにして、外国人の方が安心して必要な情報にアクセスできる状況を整備することは、外国にルーツを持つ子どもとその親や保護者の心身の健康を向上させ、同時に、保健医療職による保護者支援の質向上に貢献すると自負しています。

 今後の課題は、ウェブサイトの存在をさらに多くの人々に周知しますます多くの方にご活用いただけるようにすることとウェブサイトの質の充実を進めることです。

利用度評価や外国人保護者や保健師の方々への聞き取り調査を行って、使いやすさとアクセスの簡便さを評価し、内容と操作性を向上させたいと思っています。皆さまのご意見をお待ちしております。

 私どもの研究や活動について紹介する機会をいただきましたことに心より厚くお礼申し上げます。

■リンク
『日本で暮らす外国にルーツを持つ子ども・子育て支援サイト』

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