家族で使うAI健康アプリ「健康サポートバブル」が社会的フレイル予防に効果
兵庫県立大学地域ケア開発研究所らの研究チームはこのほど、AI健康アプリを家族と一緒に使う「健康サポートバブル」介入が社会的フレイル予防に有効であることを明らかにした。
家族という密接な関係性を活用すれば、行動変容の後押しになることを実証したもの。デジタル技術と人とのつながりを組み合わせた新たな仕組みとして、健康アプリの社会実装を進める上で重要な知見となる。
社会的フレイルの予防に向けた新たな介入モデル「健康サポートバブル」
フレイルとは、加齢に伴って心身の活力が低下する状態で、「健康」と「要介護」の中間に位置する。65歳以上人口の約12〜24%が該当するとされ、身体的・認知精神的・社会的の3つの側面がある。
このうち社会的フレイルは、孤立や孤独、社会的ネットワークの不足、社会参加の低下といった概念を含み、最も未解明な部分とされている。
一方、ヘルスケアアプリの利用で社会的孤立や孤独を軽減する「モバイルヘルス(mHealth)」が注目を集めているが、成果は限定的とされる。特に壮年期からの社会的フレイル予防に関する実証研究はほとんど行われていない。
この課題を踏まえ、研究チームは新たな介入の仕組みとして「家族」に着目。家族は閉じた関係性を持つことから、家族単位で「バブル」を形成し、その中での行動や感情が相互に影響し合う。このシステムを利用した介入によって、これまで限定的だった社会的フレイル予防における健康アプリの効果が高まると考えた。
着想の背景には、新型コロナウイルスのパンデミック下でイギリスやニュージーランド政府が導入した「ソーシャルバブル」政策があるという。これは厳格な外出制限の中で限られた少人数のグループを形成し、その内部での接触を認めることで社会的孤立や孤独感を和らげる仕組みだった。
人と人のつながりを「補う」役割
研究チームはこの考え方をもとにランダム化比較試験を実施。対象は40歳以上の日本人101人で、アプリを単独で使用する対照群と、家族と一緒に使用する介入群に分け、6カ月間の介入効果を比較した。
その結果、介入群では社会的フレイルの構成要素である「社会的行動と余暇活動」と「フレイル得点」が改善した。一方で、社会的孤立については改善が見られなかった。このことから、健康サポートバブル介入は社会的フレイル予防に資する行動変容を促す一方、孤立そのものを解消する手段にはならないことが示唆された。
研究チームは今後の課題として、家族以外の他者による健康サポートバブル介入の効果や、6カ月を超える長期介入が社会的孤立の改善につながるかを検証する必要があると指摘。
「モバイルヘルス(mHealth)」はヘルスケアへのアクセスを向上させる一方で、デジタルの効率性と人と人との相互作用のバランスが重要で、個人的なつながりを置き換えるのではなく補完する役割を果たすべきだとしている。
今後は効果的な社会実装に向けて重要な要因をさらに明らかにし、実証研究を通じて介入モデルを推進していくという。
AI健康アプリを用いた実証研究 家族における「健康サポートバブル」が社会的フレイルを予防(兵庫県立大学/2025年8月5日)本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。

