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肥満は心血管疾患のリスク要因 死亡リスクが低いのはBMI22.4
2013年10月11日
日本を含む東アジアと南アジアの112万人以上を対象とした前向きコホート研究で、体格指数(BMI)が高い肥満の人では、心血管疾患などの死亡リスクが高まる傾向があることが判明した。心血管疾患は世界中で主な死亡原因のひとつであり、毎年1,700万人以上が心血管疾患が原因で死亡している。
この研究は、ニューヨーク大学ランゴーン医療センターとフレッド ハッチンソンがん研究センターなどの研究チームによるもので、日本で行われた大規模コホート研究「JPHC研究」などの成果がいかされている。英国医師会雑誌「BMJ」に発表された。
「肥満」と「やせ」で心疾患リスクは上昇
研究チームは、南・東アジアの112万4,897人(東アジア 83万5,082人、南アジア 28万9,815人)を対象に、平均10年間にわたり追跡した国際共同研究である「アジアコホート連合」(Asia Cohort Consortium)のデータを解析した。対象となったのは、東アジア(日本・韓国・中国・台湾・シンガポール)、南アジア(バングラデシュ・インド)の7ヵ国。
BMIと心血管疾患(CVD)による死亡との関連を調べたところ、日本を含む東アジアでは、BMIが20.0~22.4のときに死亡リスクはもっとも低くなり、やせ(BMI 15未満)や肥満(BMI 27.5以上)では死亡リスクが高くなるという「U字型」の相関が示された。
脳卒中でも同様の傾向がみられ、BMIが20.0~22.4のときに死亡リスクはもっとも低くなった。
BMIは、2011年の全死亡リスクとの関連で示されたデータをもとに、22.5〜24.9を対照とし、10段階に設定した(15.0未満、15.0〜17.4、17.5〜19.9、20.0〜22.4、22.5〜24.9、25.0〜27.4、27.5〜29.9、30.0〜32.4、32.5〜34.9、35.0以上)。全体のBMIの平均は22.8(東アジア23.1、南アジア22.0)だった。
平均9.7年の追跡期間中に,心血管疾患による死亡数は4万9,184人。地域別では,東アジアが4万791人,南アジアが8,393人だった。
南アジア人と東アジア人の間では異なる結果に
もう一つの重要な発見は、BMIと心血管疾患による死亡との関連は、53歳未満の東アジア人では強かったことだ。
BMIの増加による心血管疾患の死亡リスクの上昇は、東アジアでは53歳以上(HR 1.17、95%信頼区間 1.10〜1.25))と比べ53歳未満(HR 1.38、同1.20〜1.58)でより高かった。
「これは欧米の集団での観察結果と一致しています。中年期ではBMIの高い肥満が心血管疾患の重要なリスク要因となりますが、老年期では死亡リスクは上昇しませんでした。高齢になると体脂肪が多い方が生存利益がもたらされる可能性があります」と、チェン氏は述べている。
一方、南アジアでは、BMIが高い方が心血管疾患のリスクは上昇傾向を示したが、いずれのBMIでも有意なリスクの変動は確認されなかった。脳卒中に関しては、BMI 35.0以上でのみ死亡リスクの有意な上昇が確認された。
「南アジア人の心血管疾患のリスクを評価するため、今後の研究でウエストサイズ・太もも周り・ウエストとヒップ比率などを調べる必要があります」と、チェン氏は述べている。
Association between body mass index and cardiovascular disease mortality in east Asians and south Asians: pooled analysis of prospective data from the Asia Cohort Consortium(BMJ 2013年10月1日)アジアコホート連合(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター)
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