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悪玉コレステロールの知識が足りない 自分の検査値を知らない人が8割

 日本では欧州に比べ、高コレステロールのリスクが十分に認識されておらず、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの心血管病に対する問題意識も低い――日本と欧州11ヵ国の比較分析で、日本人のコレステロールに関する知識「コレステロール リテラシー」の不足が明らかになった。
心血管病は日本人の死因の第2位
要因は高LDLコレステロール
 製薬企業のサノフィが、欧州動脈硬化学会が実施したコレステロールに関する国際意識調査「Think Again About Cholesterol」の結果をもとに行った日本と欧州11ヵ国の比較分析で、日本人の「コレステロール リテラシー」の不足が明らかになった。

 日本ではLDL(悪玉)コレステロールが高値となる高コレステロール血症の患者数が増加傾向にあり、治療薬を服薬している患者は約1,370万人に上るという。

 高LDLコレステロールは動脈硬化を促進させる原因となり、動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの心血管病を引き起こす。日本では心血管病が死因の第2位を占め、世界でも死亡例の約30%が心血管病によるものとされている。
自分のLDLコレステロール値を知らない人が8割
 国際意識調査「Think Again About Cholesterol」は、コレステロールについての認知度を比較するために、サノフィが協賛し欧州動脈硬化学会が2015年に実施した。対象となったのは、日本と欧州11ヵ国(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、オランダ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)に在住する25歳以上の成人合計約1万2,000人。

 「もっとも心配している疾患または健康上の問題」は、日本では1位「がん」、2位「認知症」、3位「糖尿病」という結果になったが、欧州では「心疾患」が2位に入った。

 また、欧州では心血管病を個人的にもっとも心配している疾患として挙げている人が39%に上ったのに対して、日本では21%と約半分にとどまった。

 日本では心血管病が死因の第2位を占めるにもかかわらず、心血管病を個人的な健康課題として認識しておらず、欧州に比べ心血管病に対する問題意識が低い実態が示された。

 さらに、高LDLコレステロールについては、日欧いずれも80%以上が「誰もが気をつけるべきだ」と回答したが、自分の検査値を知らない人の割合は日本では81%に上った。「LDLコレステロールは、悪玉コレステロールと呼ばれている」ことを知っている人の割合は42%にとどまった。

 また、「高LDLコレステロール値が高いと、健康リスクが上昇する」ことを日欧ともに約70%の人が認識していたが、「LDLコレステロール値が低いと、長期的な健康に良い」と表現を変えて尋ねたところ、正解したのは欧州48%に対して、日本では27%という結果になった。日本人のコレステロールに関する知識不足を示す結果になった。
まずは自分の検査値を知り、かかりつけ医に相談を
 ライフスタイルの変化により、日本人の総コレステロール値は年々増加している。LDLコレステロールが高すぎる(高LDL-C血症)、あるいは、善玉のHDLコレステロール値が低すぎる(低HDL-C血症)などの「脂質異常症」が疑われる日本人成人の数は年々増加し、2012年には約2,200万人に達した。

 「コレステロールが血中に多い状態が続くことで動脈硬化が進み、ある日突然、血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞になったり、もろくなった血管が破れる脳出血などの心血管病を引き起こします。こうした動脈硬化による心血管病を予防するために、LDLコレステロールを低下させる治療が有効です」と、山下静也氏(りんくう総合医療センター院長、大阪大学大学院医学系研究科 総合地域医療学寄附講座特任教授)は述べている。

 「日本ではLDLコレステロールの正しい知識が不足しています。多くの人が自分のLDLコレステロール値を知らず、原因のひとつはコレステロール管理に対する意識が低いことです。まずは自分の検査値を知ることからはじめ、気になったらかかりつけ医に相談し、循環器内科を受診して欲しい」と、心血管病の予防のために日本人のコレステロールリテラシーを上げることの重要性を指摘している。

サノフィ
Think Again About Cholesterol-Infographic-(欧州動脈硬化学会 2015年12月18日)
[Terahata]
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