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いま知っておきたい「花粉症」対策 治療の基本を知って乗り切ろう
2017年02月23日
例年、春先に飛び始めるスギ花粉。花粉症の人にとっては、つらいシーズンだ。できる限りの対策をして、上手に乗り切ろう。
花粉症患者は急増している
花粉症は、体内に入った花粉(異物)を排除しようとして、人間の身体が起こすアレルギー反応の一種だ。主な症状は、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」「目のかゆみ」などだが、「喘息」を併発することもある。
花粉の飛散量が増えたことが、花粉症患者が急増している原因のひとつだが、近年は食生活の変化や腸内細菌の変化、大気汚染、喫煙、ストレスなどの影響も指摘されている。
症状が悪化する前に治療を開始
ヒトの体では細菌や微生物などから体を守るために抗体という成分が作られている。花粉を体内に入り込むと、体は花粉を異物と認識して免疫機能が働きはじめて「IgE抗体」がつくられる。
「IgE」は鼻や眼の粘膜にある肥満細胞と結合し、吸い込んだ花粉が粘膜に到達すると反応を起こす。その結果、肥満細胞からヒスタミンなどの炎症を引き起こす物質が放出され、これらの物質が鼻や目の粘膜を刺激してアレルギー反応を引き起こす。
くしゃみ中枢が刺激されると「くしゃみ」が、分泌腺が刺激されると「鼻水」が、血管が刺激されると「鼻づまり」などの症状が出てくる。
本来は排除する必要がない花粉に対して身体の防御機能が過剰に反応してしまい、逆に体の負担が生じてしまうのが花粉症だ。花粉症は自然に治ることはまれで、症状が悪化してしまうと治療を行ってもなかなか症状がおさまらないという特徴がある。
花粉症の治療の基本を知って乗り切ろう
花粉症を治療するために、日常生活で浴びる花粉の量をなるべく少なくする工夫が大切だ。
「マスクは隙間から花粉が侵入してこないよう、顔にフィットするものをつける」「帰宅したらうがい・手洗い・洗顔を行う」「花粉対策用眼鏡、帽子、マスクを着用する」「衣服はツルツルした素材を選び、帰宅時外で衣服などをはたく」などの対策を行おう。
薬物療法では、少しでも症状が出たらすぐに治療を始める初期療法が有効だ。
薬には、くしゃみ、鼻水に効果がある「抗ヒスタミン薬」(内服薬)、ヒスタミンなどが放出(遊離)されるのを抑制する「遊離抑制薬」(点眼薬・点鼻薬)、鼻づまりに効果がある「抗ロイコトリエン薬」(内服薬)のほか、「血管収縮薬」(点鼻薬)や「鼻噴霧用ステロイド薬」などがある。薬物治療では、最近は眠気などの副作用の少ないものが出てきている。
手術には鼻閉を改善する手術、鼻汁を減らす手術、レーザーを用いてアレルギー反応を起こす粘膜を減らす手術がある。また最近では免疫療法も根本的な治療法として注目されている。
アレルギー疾患が急増 厚労省が基本指針を発表
最新の正しい情報を得ることも大切
指針案では、▽アレルゲン(アレルギー疾患の原因物質)を回避するための措置を講ずることを念頭に、アレルギー疾患のある患者を取り巻く環境の改善をはかる、▽アレルギー疾患の医療全体の質を向上させ、科学的根拠にもとづいた医療の提供体制を整備する、▽アレルギー疾患に関し、科学的知見にもとづく適切な情報を入手できる体制を整備する――とった対策を求めている。
アレルギー疾患のある人が科学的根拠にもとづかない治療によって症状を悪化させるケースがあるため、インターネットなどを通じて適切な情報の提供をはかることも強調している。インターネット上の情報には科学的に適切でない例もあるので、予防法や生活改善策について最新の正しい情報を得ることが大切だ。
アレルギー疾患対策推進協議会(厚生労働省)一般の皆様へ(日本アレルギー学会)
アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)のおもな治療薬(日本アレルギー学会)
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