日本健康会議「健康スコアリング(2018年度版)の効果検証結果」を発表

「健康スコアリングレポート」は各健保組合に加入している人の健康状態や医療費、予防・健康づくりへの取り組状況などを"見える化"したもの。組合は全健保組合平均や業態平均とデータを比較するなどして、自組織の立ち位置を把握することができる。
今回のアンケートは厚生労働省が2018年度版の健康スコアリングレポートを発送後、全健保組合(1376組合)に対して実施。1124組合から回答を得て、このほどその内容がまとめられた。
このうち、特定健診・特定保健指導実施率とコラボヘルス(注1)実施の関係性を見ると、コラボヘルスを行っていない保険者ほど、総合評価のスコアが悪い傾向にあることが分かった。これは単一組合・総合組合の違いに関わらず、同様の結果がみられた。

また、すでにコラボヘルスを行っている組合の方が、企業の経営層とスコアリングを共有している割合が高いことも明らかになった。例えば「社長・会長」とスコアリングを共有している・もしくは今後共有する予定だと答えた組合は、コラボヘルス実施の場合は約65%。一方、コラボヘルス未実施の場合は48%だった。
同様に「副社長・専務等」ではコラボヘルス実施の場合は約80%、未実施の場合は約51%と大きな差が付いた。またコラボヘルス未実施の場合は「郵送やメール等」といった対面以外の方法で共有している割合が高かった。
経営層へスコアリングを共有していない組合のうち、約4割はコラボヘルスを行っておらず、特定健診等実施率のスコアも相対的に低かった。
経営者(社長・会長)に共有しない理由としては、
①事業主単位のレポートが必要...「1事業主ごとのレポートではなく説明が難しい」など
②担当役員等への報告で代替...「部長などと共有している」など
③企業側の判断に委ねている...「経営者への共有は企業担当者に委ねている」など
④体制・環境が不十分...「経営者が忙しい」「会社の関心が薄い」など
⑤今後対応を検討...「必要な体制・対応を整えた後に共有」など
⑥データに乖離があったため...「数値が正しく反映されていない」など
の6つに大きく分けられていた。
「スコアリングをきっかけとした取り組みの変化」について聞いた設問では、約7割の組合が「特段変化はない」としたが、97組合が新たに「事業主との連携を開始した」と回答。178組合が「事業主との連携を一層、強化」させていた。
連携を開始した具体的な内容としては、事業主の意識変化、議論の場の設置、事業主と協働で保健事業実施を検討、などがあった。
またスコアリングの結果を受けて、今後、特に力を入れて推進する取り組みは「特定保健指導実施率の向上」が最も高い割合を占めた。
コラボヘルスの実施・未実施別でみると、コラボヘルスをすでに行っている組合では「生活習慣病リスク保有者の改善」や「生活習慣の改善指導」など、一歩踏み込んだ取り組みに力を入れたいという傾向が見られた。一方、コラボヘルス未実施の場合は「特定健診・保健指導の実施率向上」を重視する傾向が強かった。

同様に、特定健診実施率の評価が上位の組合ほど「生活習慣病リスク保有者の改善」や「生活習慣の改善指導」に力を入れるとする傾向が見られた。
これらのことから、コラボヘルスを実施していたり、特定健診実施率が高かったりする組合ほど、リスク保有者の改善に力を注げていることが分かる。
ほかにも検証結果は、スコアリングに今後望む改善点についての意見や、事業主に対して実施されたアンケート結果などもふまえてまとめられている。
注1)組合と企業側が定期的な議論の場を持ち、加入者の予防・健康づくりにつながる保健事業を効果的に推進するよう具体的な取り組みについて連携していること

「産業保健」に関するニュース
- 2022年11月01日
- 【新型コロナ】高齢化が世界一の日本でなぜ死亡率が低いのか? 日頃の医療や保健活動の積み重ねが成果
- 2022年10月31日
- 【新型コロナ】運動がワクチン効果を高める ウォーキングなどの適度な運動によりワクチン効果は3倍に
- 2022年10月31日
- 【新型コロナ】ネットやSNSの医療・健康情報は信用できる? ヘルスリテラシーを高める4つのポイント
- 2022年10月31日
- 高齢者の「オーラルフレイル」に対策 口の機能を維持してフレイルを予防 「カムカム健康プログラム」を開始
- 2022年10月31日
- 更年期の女性が体重を増やすのは宿命? 「対処方法はあります、あきらめないで」と更年期障害学会
- 2022年10月27日
- 11月は「過労死等防止啓発月間」&「しわ寄せ」防止キャンペーン月間 全国でシンポジウム開催
- 2022年10月25日
- 【特定健診】健診結果から糖尿病リスクを予測するAIを開発 スマホアプリに搭載し生活改善を促す 大阪大学
- 2022年10月24日
- 【新型コロナ】不安やうつを予防するのに「健康的な食事」が効果 ストレスになるニュースを遮断するのも有効
- 2022年10月24日
- 「フレイル」をわずか5つの質問で簡便に判定 フレイル予備群も分かる 保健指導でも活用
- 2022年10月24日
- 「超加工食品」の食べ過ぎで大腸がんリスクが上昇 不健康な食事は肥満・メタボの原因にも
最新ニュース
- 2023年01月31日
- 【新型コロナ】休校中に生活リズムが乱れた子供は睡眠時間が減少 夜型の生活をしている子供は要注意
- 2023年01月30日
- 【職場の保健指導】生活改善プログラムでは職場の雰囲気を変えることも必要 健康支援も個別化を
- 2023年01月30日
- 男性が育児に参加すると子供の成長に良い影響が メンタルヘルス不調が減少 男性の育児参画が必要
- 2023年01月30日
- 肥満者へのオンライン生活指導は効果がある 個別化した情報提供と専門家の助言が重要
- 2023年01月30日
- 患者を介護する「家族介護者」にも医療・介護の専門職のケアが必要 健康行動の適切な助言も専門職の役割