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暑さに対策してウォーキング 熱中症を予防するための10ヵ条 夏も安全に運動
2019年07月03日
7月になり暑さが本格化している。日中は35℃、夜間でも25℃を超えることが珍しくなくなった日本の夏。ウォーキングなどの運動を中断しようと考える人も少なくないだろう。暑い日に安全に運動をするためのポイントをまとめた。
暑さ対策をすれば運動を続けられる
「夏に増える熱中症はひどい場合は生命に関わる疾患です。しかし、運動は継続することが大切です。十分な暑さ対策をしていれば、必要以上におそれる必要はありません」と、米国のマイアミ大学スポーツ医学研究所のキャロリン キエンストラ氏は言う。
「1年を通じて活発に体を動かすことは、あなたの体と心にとって有益です。しかし、最高気温が30度を超える日には、簡単な予防措置を講じることを忘れないでください」と、キエンストラ氏は指摘する。
「大量の汗をかき、体内からわずか2%の水分が失われることで、あなたのパフォーマンスに悪影響が出てきます。運動の前後の水分補給はとりわけ重要です」。
キエンストラ氏は暑い日に安全に運動するために、次のことをアドバイスしている。
● 暑いときは水分補給が欠かせない |
水分の摂り方としては、基本的には出た分を補うことが良いが、実際に運動中にその量を完全に補うことは難しい。汗をかいていてないと感じる場合でも、適切に水分補給をすることが大切だ。
まず運動をする20〜30分前ぐらいにコップ1杯程度の水分を補給し、あとは、運動中もコップ半分ぐらいの水分を補給する。血圧の高い人や心臓に問題のある人では15分に1回くらい水分補給を行う。
● 運動の前後に体重をはかる |
肥満の人は標準体重の人に比べて、同じ運動量でも熱の産生量が多い。体脂肪が増えすぎると、熱が外へ逃げるのをブロックするので、体温が上昇する原因となる。
血圧が上がりやすい、血糖値が上がりやすいといった体質は変えられないが、肥満は改善が可能だ。肥満を解消することは、健康維持のためにも重要となる。
●塩分(ナトリウム)の補給が効率的 |
身体には約0.9%の食塩水と同じ浸透圧の血液が循環している。汗にはナトリウムが含まれており、大量に汗をかいてナトリウムが失われると、水だけを飲むと血液のナトリウム濃度が薄まり、水を飲む欲求がなくなることがある。この状態になると、汗をかく前の体液の量を回復できなくなり、熱中症の原因になる。
体の状態や運動の内容によって必要な対応は変わってくるが、暑さがひどいときは、0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100mL)を含む補水液などを飲む。補水液は1Lの水にティースプーン半分の食塩(2g)を溶かして、自分で作ることもできる。
● スポーツドリンクに注意 |
スポーツドリンクの特徴は、発汗などで失われるナトリウム、カリウムなどの電解質を含んでおり、吸収を早めるために体液に近付けた浸透圧にしてあること。必要な場合は、糖質を含まない低カロリーのものを利用する方法もある。
● 運動する時間帯に注意 |
気温が上がると心拍数が増えるので、特に運動中に心拍数がいつもより高い場合には注意が必要となる。木陰で休憩を挟みながらウォーキングなどの運動を行うと安全だ。
● 準備は十分に 服装に注意 |
熱中症を予防するための服装のポイントは、(1)体の熱をスムーズに放射させる機能のあるもの、(2)外気からの熱の吸収を抑えるもの。
暑い時には服装は軽装にし、吸湿性や通気性の良い素材を使ったものを使用する。屋外で直射日光がある場合には、色の濃いものを身に付けるのを避けて、帽子を着用しよう。
● 体を熱さに慣れさせる |
● アルコールを避ける |
アルコールを飲むと、十分に水分補給したと思っていても、実際には体から水分が失われており、熱中症やケガを起こしやすくなる。
● 薬を飲んでいる人は要注意 |
● 暑いときや体調不良のときは無理な運動をしない |
暑い環境でスポーツをするように鍛えられたアスリートと違い、普通の人が暑い時期に無理して運動するのは危険がともなう。暑いときに無理な運動をしても効果は上がらない。環境条件に応じて運動強度を調節し、休憩を適宜とり、適切な水分補給を心がけることが重要だ。
また、体調が悪いと体温調節機能も低下し、熱中症につながりやすい。疲労、睡眠不足、発熱、かぜ、下痢など、体調の悪いときには無理に運動をしないことだ。
体力の低い人や、糖尿病の人、暑さに慣れていない人、熱中症を起こしたことのある人などは注意が必要だ。
暑さ指数を意識した熱中症対策が必要
・ 暑さ指数(WBGT)を意識した生活を心がけ、運動や作業中止の適切な判断を!
・ 水分をこまめに取ること。おかしいなと思ったらすぐ涼しい場所に誘導を!
・ 適切な重症度判断と応急処置を。見守りつつ改善がなければすぐ医療機関へ!
・ 周囲にいるもの同士が、お互いに注意をし合う! WBGTとは、熱中症が起きやすい外的環境を知るための指標で、気温だけでなく、湿度や輻射熱を考慮した判断が可能になる。その内訳は気温:湿度:輻射熱が1:7:2であることから、気温だけでなく、湿度や輻射熱をも考慮した判断が可能になる。 気温だけでなく、この暑さ指数を意識した生活指導が必須であり、これを用いた屋外活動の可否判断が重要だ。 WBGTが21度以上では熱中症による死亡事故が発生する可能性があり、運動の合間に積極的に水分補給が必要。28度以上では、激しい運動や持久走などの体温が上昇しやすい運動は避け、31度以上では、運動は原則中止するのが望ましいとしている。小児の場合は、さらに厳格な対応が必要となる。 屋外活動や運動をする場合は、20~30分程度の間隔での頻繁な水分・塩分補給と休憩を行った上で実施するべきだとしている。 また、小児や高齢者、持病のある人は体温調節機能が弱い「熱中症弱者」として認識する必要があると注意喚起を行っている。これらの人々は熱中症にかかりやすいので注意が必要だ。
・ 小児では汗腺の発達や自律神経が未熟で、高齢者や持病のある方は自律神経の機能が低下しており、体温調節機能が弱い。
・ 高齢者では全身に占める水分の割合が低く、容易に脱水になりやすい。脱水になると発汗の機能が低下し、体温調整が困難となる。
・ 小児では身長が低いため、地面からの輻射熱の影響を受けやすい。
・ 自分で予防する能力が乏しい。 周囲にいるもの同士が、お互いに注意をし合い、少しでも異常がみてとれたら、熱中症を疑い適切に対処することが重要だ。 Exercise Safely in the Summer Heat(マイアミ大学ヘルスシステム 2019年6月6日)
熱中症予防情報サイト(環境省) 3日間の「暑さ指数(WBGT)の実況と予測」が公開されている。 |
熱中症環境保健マニュアル(環境省) 熱中症を発症したときの対処法を解説している。 |
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