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アピアランスケアを解説したリーフレットを作成 がん患者の自分らしい生活を支援

 横浜市は、がん患者が自分らしく生活することを支援するため、アピアランス(外見)ケアを推進する取組みとして、国立がん研究センター中央病院および市内医療者の協力により、ケアの方法を解説したリーフレットを、「医療の視点」のデザインコンセプトのもと作成した。
美しさではなく、社会とつながるための「アピアランスケア」
 「アピアランスケア」とは、国立がん研究センター中央病院外見関連患者支援チーム(現アピアランス支援センター)が作成した言葉で、がん治療による外見の変化に対し医療者が行うケアをさす。

 単に変化前の外見に戻すのではなく、自分らしく生きられるよう、外見とともに周りの環境や患者本人の気持ちを整えるサポートをすることを目指している。

 国立がん研究センターが実施した調査では、医療者の予想以上に、外見に現れる身体症状が抗がん剤治療中の患者に苦痛をもたらしていることが示された。

 とりわけ女性患者では外見の変化に関する項目として、「頭髪の脱毛」(1位)、「まつ毛の脱毛」(6位)、「まゆ毛の脱毛」(8位)、「足の爪のはがれ」(9位)などが上位に挙げられた。これらは痛みやかゆみもともなわないが、患者にとって苦痛になる。

 治療を受けながら仕事や家事を行う人も増えているなか、外見が変わることで、人に会うことが苦痛に思えるなど社会生活が困難となる場合が少なくない。アピアランスケアにより「患者と社会をつなぐ」ことは重要だ。

関連情報
アピアランスケアについてのリーフレットを作成
 横浜市では、2014年10月に施行された「横浜市がん撲滅対策推進条例」に基づき、がん対策に関わるさまざまな取組みを実施している。

 このほど、アピアランスケアに関するリーフレットを、市と市内でアピアランスケアに取り組む医療者、国立がん研究センター中央病院の協力を得て作成した。とくに患者が悩むことの多い4ヵ所(髪、爪、肌、眉毛・まつ毛)のケア方法について分かりやすく解説している。

 これまでアピアランスケアについての患者向けの資料は、ウィッグや化粧品などのパンフレットが多く、医療者の立場から作成されたものはほとんどなかった。

 市はこのリーフレットを用いて、がん患者および家族を対象に、アピアランスケアに関する相談会を市内がん診療連携拠点病院等にて実施する。

 10月は「がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン月間」「乳がん月間」でもある。がんへの関心がとりわけ高まるこの時期を合わせ、がん患者への支援に集中的に取り組むとしている。
医療者へのアピアランスケア研修を実施
 市では、これまでもアピアランスケアを積極的に推進するため、2016年度からウィッグ購入費助成を開始、2017~2018年度には、国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センターから講師を招き、市内がん診療連携拠点病院等の医療者へのアピアランスケア研修を実施した。

 がん治療の知識に基づく実践的なケアを学んだ研修修了者は、10病院に22人おり、各病院での患者支援に取組んでいる。

 取組みは、民間企業などとの連携による手法で医療広報を実施する「医療の視点」プロジェクトの一環として統一的なデザインにしているという。

 一方、国立がん研究センター中央病院は、アピアランスケアの医療者向け手引き書「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」を2016年に作成した。

 国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センターは、治療に伴う外見変化に対処し、がん患者が自分らしく生活できるよう支援することを目的に2013年7月に開設された。

 この手引きは、医療者がん患者に対しどのようなアピアランスケアを指導すればよいかを基準に使用されることを想定した内容となっている。アピアランスケアに必要な情報をエビデンスにもとづき整理し、がん治療や患者指導、情報提供を行う医師、看護師、薬剤師など医療従事者を対象としている。

アピアランスケアについて(横浜市 2019年10月2日)
「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」2016年版
国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センター
アピアランス支援センターは、がんやがん治療による外見変化に悩む患者の相談に応じ、自分らしく日常生活を送れるようサポートする部門。外見の悩みを解決するための研究や教育活動にも取り組んでいる。
[Terahata]
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