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女性が妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる

 富山大学の研究グループが、和食の普及を後押しするような研究を発表した。妊娠中に味噌汁を飲むことの多かった女性から生まれた子供は、あまり飲まなかった女性の子供に比べて、睡眠不足になりにくいことが分かった。
和食の普及を後押しする研究
 2013年にユネスコの無形文化遺産に登録され、和食の人気が高まっている。和食の特長は、腸内の善玉菌を増やす食物繊維が豊富なことや、食材が多様で栄養バランスに優れること、味噌などの発酵食品が多いことなど。

 富山大学の研究グループが、和食の普及を後押しするような研究を発表した。妊娠中に味噌汁を飲むことの多かった女性から生まれた子供は、あまり飲まなかった女性の子供に比べて、睡眠不足になりにくいことが分かった。

 研究は、富山大学医学部公衆衛生学講座の杉森成実氏らの研究グループによるもので、詳細は「PLOS ONE」に掲載された。2010年度より全国10万組の親子を対象に行われている大規模な調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の成果だ。

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概日リズムが腸内細菌叢の影響を受ける
 人は通常、毎日決まった時間に起床・就寝し、おおむね一定のリズムで生活している。このリズムを「概日リズム(体内時計)」と呼ぶ。概日リズムは、日光を浴びる時間帯や食事の影響を受けやすいことが知られている。

 幼少期に概日リズムが乱れて睡眠不足に陥ると、体の発達、とくに肥満に影響することが知られている。子供の概日リズムに影響を及ぼす要因については、さまざまな角度から研究が行われている。

 一方、発酵食品の摂取が、腸内細菌叢に影響を与え、健康維持に役立つ可能性があることも分かってきた。母親の腸内細菌は子供に受け継がれ、妊娠中の発酵食品の摂取が子供の発達や生活習慣に影響を及ぼす可能性がある。さらに近年では、概日リズムが腸内細菌叢の影響を受けることも報告されている。

 こうしたことから、研究グループは今回の研究で、妊娠中の発酵食品の摂取が、生まれてきた子供の睡眠時間にどう影響するかを調べた。エコチル調査に参加した7万2,624組の母子を対象に、子供が1歳の時点での睡眠不足について調査した。
味噌汁の摂取量が多い母親では睡眠不足の子が少ない
 妊娠中の発酵食品の摂取状況については、食事の摂取頻度に関する調査票により、味噌汁、ヨーグルト、チーズ、納豆について回答してもらった。また、子供の睡眠時間については、1日11時間未満を「睡眠不足」と定義した。対象を、妊娠中の味噌汁の摂取量で4群に分け、子供の睡眠不足との関連を解析した。

 その結果、味噌汁の摂取量が多い群では、少ない群に比べ、睡眠不足の子が少ないことが明らかになった。子供が睡眠不足になるリスクは、味噌汁の摂取量がもっとも少なかった群(10g/日)に比べ、1日に32.1gを摂取した群で8%、88.4gを摂取した群で13%、225gともっとも多かった群で8%、それぞれ低下した。

 一方、ヨーグルト、チーズ、納豆では、摂取量と睡眠不足との間に関連は認められなかった。
味噌汁など発酵食品を食べると腸内細菌が変わる
 富山大学は、早産リスクの低い日本人女性が、妊娠前に味噌汁やヨーグルト、納豆などの発酵食品を食べる頻度が高いと、妊娠34週未満の早期早産になりにくいという調査結果も発表している。早産となった女性とそうではない女性とでは腸内細菌の組成が異なることを報告している。

 「今回の研究が示された結果は、これまでにない新規性の高いものです」と、研究グループは評価。一方で、「妊娠中に飲んだ味噌汁の成分や腸内細菌が子供の睡眠時間に影響していたかどうかを直接調べたわけではなく、味噌汁以外の要因が関与している可能性も考えられます。今後さらに介入研究を重ねる必要があります」とコメントしている。

富山大学医学部公衆衛生学講座
Association between maternal fermented food consumption and infant sleep duration: The Japan Environment and Children's Study(PLOS ONE 2019年10月4日)
[Terahata]
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