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【新型コロナ】医療機関の受診控えで健康リスクが上昇 日本医師会は安心マークを発行「感染防止を徹底しているから、安心して来て」
2020年12月23日

新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、診察や通院が手控えられ、病気の発見が遅れる、あるいは必要な治療を受けないなどのリスクが懸念されている。
産経新聞社と大阪病院が、健康意識の高い全国の中高年を対象に実施した調査によると、医療機関の受診控えで健康リスクが高まっている人が増えている。
日本医師会は『みんなで安心マーク』を発行し、「医療機関はこれまで以上に感染防止対策に取り組んでいます。安心して来院してください」と呼びかけている。
産経新聞社と大阪病院が、健康意識の高い全国の中高年を対象に実施した調査によると、医療機関の受診控えで健康リスクが高まっている人が増えている。
日本医師会は『みんなで安心マーク』を発行し、「医療機関はこれまで以上に感染防止対策に取り組んでいます。安心して来院してください」と呼びかけている。
半数が自身の体調の変化や不安に対し「何もしていない」
調査は、産経新聞社と大阪病院(大阪府)が、コロナ禍における「診察や通院の現状と、心と身体について抱えている不安」を聞くために、11月に実施したもの。
全国の健康意識の高い中高年3,118人が回答し、うち50代、60代、70代以降の年代が全体の9割を占めた。
新型コロナウイルス感染症の拡大にともない行動制限を強いられているなかで、体調や気持ちの変化として感じていることとして、「先行きに不安を感じるようになった」(32.1%)、「ストレスがたまりやすくなった」(31.3%)を挙げる人が多かった。「体調や気持ちの変化はない」という回答は、男性の30.4%、女性の18.4%と少なかった。
自分の「体調の変化や不安、気持ちの変化」に対して、「特に何もしなかった」という人は50.4%と半数に上り、次いで「家族に相談した」(19.3%)、「医師など医療関係者に相談した」(17.1%)、「自分で医療機関を探して調べた」(15.2%)と続いた。体調や気持ちの変化を、個人の中で抱え込んでしまっている状況が懸念される結果になった。
「自身の健康や気になることを誰に最初に相談しますか?」という問いに対しては、「家族または親族」(70.3%)、「かかりつけ医」(39.1%)を挙げた人が多かった。

出典:産経新聞社、2020年
医療機関で感染しないか不安
なんらかの持病をもっている人に、定期受診(通院)について聞いたところ、「ずっと変わらず通っている」は73%を占めた一方で、「受診に行く回数が減った」「減っていたが最近は以前同様に通っている」も27.0%に上った。感染症が拡大した中で、通院控えが一定割合に上ることが示された。
健康診断については「いつもどおりに受けた」が54.6%で、全般に健康意識が高いことが示された。一方で、「いったん延期したが、年度内に受けた(受ける予定)」(24%)、「いったん延期。今後受けるかどうかは未定」(9.1%)という回答もあり、3分の1の人が健診を延期していることが分かった。
「自分やご家族が病院や医院に通院したり、検診を受けたりすることに不安を感じますか?」という問いに対しては、「待合室などで感染しないか不安」(63.7%)がもっとも多く、「医師や職員から感染しないか」(21.1%)、「医療機関に行く道中での感染」(18.7%)という回答もあつた。一方、「とくに不安は感じていない」との回答は31.6%と3分の1未満にとどまった。

出典:産経新聞社、2020年
医療機関が感染対策をしていることを周知させる必要が
「どのような医療機関や検診センターであれば安心して受診できますか?」という問いに対しては、「頻繁な消毒」「館内の全面的な抗菌・坑ウイルス仕様」「医師や看護師などの職員が定期的に検査を受けている」と答えた人が多かった。
「医療機関で感染するのではないか」との懸念をもっている人が少なくなく、それが受診控えの一要因になっている可能性がある。この懸案を解決するために、医療機関がどのような感染対策をしているかを十分に周知させる必要がある。

出典:産経新聞社、2020年
この調査を監修した大阪病院の西田俊朗院長は、「コロナの流行で先が見えないなか、仕事や生活様式が大きく変化し、不安やストレスをため込んでいる状況がうかがえます。同時に、行動制限や体調・気持ちの変化に対する考え方や反応が、個々によってPositiveな方向とNegativeな方向の両方に二極化していることも分かりました」と述べている。
「医療機関の受診に際しては、かなりの人が感染への不安から、受診を控えているようです。大阪病院で診ていると、最近、コロナ以外の病気で病状が非常に悪くなって緊急受診をする人が増えています。そのような状況では、治せる病気も治せなくなります。ぜひ、医療機関を適正に利用していただきたいと思います」と、西田院長は述べている。
西田院長は来年1月より、新聞読者の健康不安などに回答するコラムを「産経ニュース」で開始する予定。
医療機関では新型コロナウイルス感染症などの感染防止の対策を徹底
日本医師会は「みんなで安心マーク」を発行
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