新型コロナで乳がん検診の受診が減少 受診率を落としていない地域も 8ヵ国の1億人超を調査
コロナ禍で乳がん検診の受診率が減少
乳がんは、日本でも女性がかかるがんのなかでもっとも多く、患者数は年々増加している。世界でも、2020年には230万人の女性が乳がんと診断され、68万5,000人が死亡している。 一方で、近年は乳がんの治療が年々進歩しており、早期発見して適切な治療をすれば、多くは治るがんになっている。 早期発見のために、マンモグラフィ検査などを受けることが大切だが、コロナ禍で乳がん検診の受診率が世界的に減少しているという調査結果が発表された。 「乳がん検診の実施が、世界的には減少している傾向が示されましたが、乳がん検診の受診率は国や地域によって差があり、受診率をあまり落としていない地域もあります。がん検診の受診率を伸ばすヒントが隠れていそうです」と、英国のエディンバラ大学アッシャー研究所のレーガン リー氏は言う。2020年の乳がん検診の実施は13%から31%減少
研究グループは、新型コロナのパンデミックが起こった最初の年である2020年の、乳がん検診の実施数と受診率の変化を定量化するため、米国の医薬文献データベースであるMedline、WHO(世界保健機関)の新型コロナデータベース、各国のデータベースを体系的に調査した。 最終的に、オーストラリア・ブラジル・カナダ・中国・イタリア・メキシコ・英国・米国の8ヵ国の17件のデータベースに含まれる、1億648万4,908人の女性のデータを解析した。 その結果、国や地域によって差があるものの、2020年に乳がん検診の件数と受診率の両方が減少していたことが明らかになった。 対象となった5ヵ国では、2020年の乳がん検診の実施幅は13%から31%減少していた。とくに、乳がん検診の体制があまり整備されていない国で減少幅が大きく、メキシコで61%、ブラジルで41%、それぞれ減少した。 医療保険が混在する米国では、検査幅に幅広い変化があったが、やはり乳がん検診の実施数は18%から39%減少していた。 この変動する変化は、がん検診をうける女性が公的医療保険に加入しているか、それとも民間医療保険に加入しているかによって、影響を受けている可能性があるとしている。乳がん検診の受診率を落としていない地域も
研究グループは次に、乳がん検診の受診率について、ベルギー・ブラジル・ニュージーランド・英国・米国の5ヵ国の、4,625万7,402人以上の女性を対象とした9件の研究を分析した。 2020年の乳がん検診の受診率は、たとえばブラジルでは43.5%減少し、米国でもマイナスの変化があったが、英国では逆に2%から8%増加していた。 英国は公的医療保険が充実しており、コロナ禍の感染対策として「フィジカル ディスタンシング(身体的距離の確保)」が求められていたなかで、がん検診の受診勧奨がある程度うまくいっていたとみられる。 「コロナ禍で、乳がん検診の実施が減少した国や地域が多いなかで、受診率をあまり落としていない地域もみられました。アフターコロナでは世界的に、乳がん検診プログラムの能力と普及率に多くの改善がみられますが、まだ十分ではありません」と、リー氏は指摘する。 「がん検診の受診勧奨が成功している国や地域の例を参考にすれば、将来のがんの予防と早期診断のための介入を改善するのに役立つ可能性があります」としている。国民生活基礎調査より
A rapid review on the COVID-19's global impact on breast cancer screening participation rates and volumes from January-December 2020 (eLife 2023年9月12日)
2021年の日本人の全死因死亡率は前年比で2.2%増加 がん(悪性新生物)の死亡率は0.6%減少 (国立がん研究センター 2023年8月31日)
がん検診の推進 (日本対がん協会)
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