男性の育休取得率は46.2%に 2025年の政府目標は50% 令和5年度「男性の育児休業等取得率の公表状況調査」

調査では、従業員1,000人以上の企業のうち、3月末決算企業の約9割が6月中に公表が完了予定と回答。男性の育休取得率は46.2%、平均取得日数は46.5日だったことが分かった。
育児・介護休業法の改正で2023年4月から、常用雇用する労働者が1,000人を超える企業は、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられている。
公表時期は事業年度終了後、概ね3カ月以内とされており、2023年3月決算の企業が初回に公表する期限の目安は6月末だった。
そのため6月1日時点の公表状況について、全国の従業員1,000人超の全ての企業・団体を対象に調査を実施。調査書の発送件数4,409件のうち有効回答数は1,472件だった(回答率33.4%)。
調査の結果、3月末決算で6月末を公表期限の目安とする企業のうち、6月1日時点で公表している企業の割合は58.3%(1,066社中621社)。未公表の企業445社のうち304社は6月中に公表予定と回答しており、6月末までに計925社(86.8%)の公表が完了する予定だということが分かった。
回答した企業における男性の育休取得率は46.2%。育休取得日数の平均は46.5日だった。今年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」では、男性の育休取得率の政府目標を2025年に50%、2030年に85%とする方針が示されており、目標値に近づいていることが分かる。
育休等取得率の公表による効果や変化について聞いた設問では、「社内の男性育休取得率の増加」、「男性の育休取得に対する職場内の雰囲気のポジティブな変化」、「新卒・中途採用応募人材の増加」の順で回答が多く、育休取得の促進はもちろん、人材獲得の面でも効果を感じている企業が多い。
一方、育児・介護休業法では育児休業を取得しやすい職場の環境整備も企業に義務付けている。調査の結果、男性育休取得率が80%を超える企業群は「自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供」や「育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施」に取り組む割合が、取得率20%未満の企業に比べて高かった。
また男性育休取得率が80%を超える企業群は、取得率20%未満の企業に比べて、「電子メール」や「対面またはオンラインによる面談」で個別に周知・意向確認をしている割合も高かった。
反面、取得率20%未満の企業群の方が「書面交付」をしている割合は高く、調査結果では「因果関係は言えないが、個別周知・意向確認は、書面交付よりも、電子メールや対面・オンラインでの面談により行うことが効果的な可能性がある」としている。
調査結果の公表においてはイクメンプロジェクト推進委員会委員の駒崎弘樹氏(認定NPO法人フローレンス会長)や小室淑恵氏(株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長)らが登壇し、記者会見が開かれた。記者会見の資料や当日の動画は、イクメンプロジェクトのHPで公開されている。
「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」 (速報値)について(厚生労 働省イクメンプロジェクト) 「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」記者会見資料(厚生労 働省イクメンプロジェクト)


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