それでは、委託先のサービスの質の管理状況を評価するためには、どのような質問をし、何を観察すればいいでしょうか。前述のように、マネジメントシステムの構築と運用状況を確認するという主旨からすれば、以下のような事項が対象となると思います。

　保健指導サービスの質の管理に関する方針
　保健指導サービスの質の管理のための体制
　保健指導サービスプログラムの質やマニュアルの管理
　保健指導実践者の資質向上の仕組み
　保健指導記録等の情報の取扱い
　施設又は設備の管理
　保健指導サービスの評価と改善の仕組み
　情報公開の取組み

　そして、契約段階では、その履行を求めるとともに、期間中に訪問して確認することを取り決めておくことが必要でしょう。しかし、ここまで読んできても、内容がまったく具体的でないという批判を受けそうです。

　たとえば、「保健指導実践者の資質向上の仕組み」といっても、具体的に何を聞けばいいか簡単ではないし、聞いた情報を評価することも、専門家でなければ困難です。

　そこで私たちは、特定健診・保健指導の制度導入に際し、厚生労働科学研究費補助金で「医療保険者が保健指導を委託する際の委託先の『保健指導の質の評価ガイド』」を開発しました。

　「保健指導の質の評価ガイド」は、2部構成になっており、「標準的な健診・保健指導プログラム」の委託基準について、その遵守状況を確認するための第1部と、委託基準の遵守だけは質の担保は難しい項目について、好事例調査をもとに開発した、質の管理状況を評価するための第2部から構成されています。

　それぞれのガイドは、確認のための質問項目と、回答を評価するための評価ガイドから成っています。

　提供される保健指導サービスの質に責任を持つ皆さんは、このガイドを活用して、外部委託候補先から情報を得るとともに、必要に応じて訪問して確認してください。

　また、ガイドの評価項目は、質の管理の取組み状況を確認するためのものですので、実際に履行されることが前提です。したがって、それらを確認するために契約期間の途中および終了時に履行等の評価を行うことも検討されるべきと思います。

※関連情報
「医療保険者が保健指導を委託する際の委託先の『保健指導の質の評価ガイド』」（産業医科大学）
保健指導サービスの質の管理（産業医科大学）