オピニオン/保健指導あれこれ
がんと就労 ~本人と職場を支える産業看護職のより良い支援とは~
錦戸 典子(東海大学大学院健康科学研究科)

No.1 支援ガイドブックの開発経緯と概要

東京有明医療大学看護学部看護学科
吉川 悦子
3. 支援ガイドブックのねらいとその対象
 私たちはこれらの研究結果に基づき、がんと診断された労働者やそれをとりまく職場・会社組織等に対して、産業看護職が産業保健チームの一員として、より良い支援を行うためのガイドとして、『がんをもつ労働者と職場へのより良い支援のための12のヒント~「治療と就労の両立」支援のための産業看護職向けガイドブック~』(以下、ガイドブック)を開発しました。

 ガイドブックのねらいは、「がんと診断された労働者や職場・会社組織等に対して、産業看護職が産業保健チームの一員として、より良い支援を行うためのヒントや方策を示すこと」です。

 ガイドブックの対象は、事業場に所属する産業看護職を主な対象として想定としていますが、労働衛生機関や健康保険組合等において、継続的に事業場で働く労働者の健康支援を行っている保健師・看護師でも、対応可能な範囲でガイドブックに記載されている内容を読みながらがん就労支援に取り組んでいただけたらとも思っています。

4. より良い支援のための12のヒント
 ガイドブックの中核となる「より良い支援のための12のヒント」は、「本人への支援」、「上司・同僚への支援」、「人事労務との連携」、「産業保健チーム内および外部医療機関との連携」の4つの視点から整理されています。さらにガイドブックでは、4つの支援の視点から、それぞれどのような支援を産業看護職が行うべきかを示すために「アクションフレーズ」を活用しています。

 アクションフレーズとは、どのように行動するのかを、具体的にアクションを表す言葉(「~します」など)として表現し、読み手に容易に理解できるように示した短い文章のことで、本ガイドブックの中核となる表現方法として採用していいます。12のヒントの一覧を表に示します。

 この4つの支援の視点に基づき、私たちの研究メンバーから、それぞれより良い支援を行うための重要なポイントや具体的な内容について、これから数回にわたって紹介させていただきたいと思います。

 がんは身近な病気であり、働く世代にとっても無縁なものではなくなってきました。突然、がんと診断された場合でも、本人を含む周囲の人々が互いに支えあいながら、全ての労働者にとって働きやすい職場環境づくりを実現するために、産業看護職がいかに貢献できるか、このガイドブックがお役に立てることを願っています。

※研究班ホームページより、上記ガイドブックを含む各種の研究成果ツールをダウンロードできますので、是非ご活用ください。
「働くがん患者と家族に向けた包括的就業支援システムの構築に関する研究」班ホームページ

著者プロフィール

  • 吉川 悦子
  • 吉川 悦子
    東京有明医療大学看護学部看護学科
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶