オピニオン/保健指導あれこれ
がん患者さんのアピアランス・サポート
No.1 がん患者の外見ケア=アピアランス・サポート
一般社団法人アピアランス・サポート東京みなとアピアランス・サポート相談室 室長
2017年11月07日
アピアランス・サポート(ケア)とは?
抗がん剤や放射線などがん治療にともなう副作用として髪や眉毛、睫毛の脱毛や、爪の変色・変形、肌のくすみなど、外見が変化することがあります。通院によるがん治療が増え、治療と仕事を両立する人が多くなったこともあり、アピアランス(外見)の変化に伴う悩みを抱える患者を支援するアピアランス・サポート(ケア)が重視され、注目され始めました。 アピアランスの変化は、患者さんにとって嘔吐や手足のしびれといった苦痛同様、もしくはそれ以上の苦痛となります。がんであることを他者に知られることで、今までの人間関係がマイナスに変化するのではないかといった不安からその苦痛が来ていることが研究でも分かってきました。「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」の発表美容の専門家によるアピアランス支援
そのような中、がん患者が自分らしく社会の中で生きられるよう支援する目的で、国立がん研究センター中央病院にアピアランス支援センターが開設され、昨年には、センター長である野澤桂子先生を中心にした研究班が「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」というガイドラインを発表され、医療機関におけるアピアランス・サポート導入が活発化してきました。 病院でのアピアランス・サポートは基本的に看護師が行いますが、複数のウイッグメーカーを集めたウイッグ相談会やカバーメイクの実践講習などを計画し、外部から美容師やネイリストといった美容の専門家を呼んでイベントを行っている病院も増えてきました。 みなとアピアランス・サポート相談室は昨年から、港区のがん対策イベントに参加しています。ウィッグやネイルなど実際に見て・触って・相談できる企画で、多くの来場者にアピアランス支援を体験してもらえるようなブースを用意しています。相談ブースを出展しました(がん対策みなと2017)
「みなとアピアランス・サポート相談室」の活動について
私たちの「みなとアピアランス・サポート相談室」は、昨年に東京都港区とがん患者の支援に関する連携協定を締結し、区内にある慈恵医大付属病院をはじめとしたがん治療診療拠点病院などで定期的なアピアランス・相談会を開催しています。 また、美容室内にアピアランス・サポート相談室を開設し、港区のアピアランスに関する無料相談窓口として、また、それぞれの患者さんに合わせたウイッグの調整カットやネイルの補強、ケアなどの施術を行う施設として患者さんに利用いただいています。個室対応など患者さんのニーズに応えるみなとアピアランス相談室(東京 高輪台)
アピアランス・サポートの今後
今年、平成29年4月から東京都港区においては、がん治療に伴う脱毛や乳がんの手術跡をカバーするウイッグ(かつら)や胸部補正具の購入経費を助成する(通称 アピアランス助成金)を制度化し、購入費用を上限3万円(購入費用の70%)まで助成し、がん患者の就労継続や社会生活を支援しています。都内の他の市区においても導入が検討され始めており、今後の支援の充実に期待がされています。【参考】東京都港区、がん患者対象としたウィッグや胸部補整具の助成制度がスタート都内初の外見ケア制度
「がん患者さんのアピアランス・サポート」もくじ
著者プロフィール
-
-
一般社団法人アピアランス・サポート東京みなとアピアランス・サポート相談室 室長
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「働く人のがん対策」に関するニュース
- 2024年06月24日
- 「肺がん検診」の受診率は50%前後 7割の若者は「受けたい」と意欲的 がん検診の受診率を高めるプラス要因とは?
- 2024年06月24日
- 一般施設や飲食店などの第二種施設で「屋内全面禁煙」の割合が増加 令和4年度「喫煙環境に関する実態調査」より
- 2024年06月04日
- 教育歴による健康格差は男女とも約1.5倍 国立がん研究センターが死因別死亡率を解析【国内初】
- 2024年05月20日
- メタボは乳がんリスクを高める 死亡リスクが44%上昇 運動習慣のある女性は乳がんリスクが大幅に減少
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い