オピニオン/保健指導あれこれ
がん患者さんのアピアランス・サポート
みなとアピアランス・サポート相談室(一般社団法人アピアランス・サポート東京)

No.2 「アピアランスケア」と「アピアランスサポート」

一般社団法人アピアランス・サポート東京
みなとアピアランス・サポート相談室 室長
村橋 紀有子

「アピアランスケア」と「アピアランスサポート」についての考え方

 アピアランスケアとは、国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センター編集の「臨床で活かすがん患者のアピアランスケア」によると「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化を補完し、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」とされています。

 したがって、例えばウイッグの調整といった個別具体的な支援方法はアピアランスケアの手段のひとつであり、アピアランス支援、もしくはアピアランスサポートといった表現で区別する方が、より理解しやすいように思います。

 アピアランスケアは、患者の個人情報をもとに疾患に対する深い理解を持つ医療者が、アピアランス支援全体のコーディネートを行い、必要に応じてアピアランスサポートの具体的な技術の提供を美容専門家などとの連携で実施していくことが望まれます。

「アピアランスケア」の流れについて

 現在、みなとアピアランスサポート相談室では、病院内のがん相談室においては、がん看護専門看護師と美容師がペアで患者さんの外見に関する相談を受けています。

 相談はおひとりずつ個別に行い、相談の内容に応じて医療者と美容師が連携しながらアピアランスサポートの実施についてプランを練ります。

病院を経由しないご相談は、技術的な支援、情報提供に限定


(みなとアピアランス・サポート相談室HP)
どんなウィッグが良いの?カットは?など具体的なアドバイスができます

 病院からの紹介ではなく、患者さんからアピアランスサポート相談室に直接ご連絡をいただく場合は、ウイッグやネイルといった個別具体的なアピアランスサポートの技術的な支援、情報提供に限定して行います。

 それ以外の医療に関わる相談、例えば病院、治療方針や経過、医師、看護師などに関する話に関しては、担当医や看護師にご相談するようにお話をして、不確かな情報やアドバイスの提供によって患者の不利益につながらないように注意をしています。

 医療的な支援は除くため限定的にはなりますが、美容の専門家としてのアドバイスはしっかりできますので、「病院に行くほどではないのだけど…」と考えている方にも足を運びやすい場所になっていけたらと思っています。

最も多いご相談は「髪の毛」のこと

アピアランスサポート相談で最も多いものは、脱毛に関するものです。

 具体的なサポート例としては、治療後、カットとストレートパーマができるかどうかのご相談がありました。その方は、伸びてきた髪がアフロヘアのようになり、悩んでいました。相談のあと、相談室内でストレートパーマとカットをしました。その日は思い切って、いつも使用していたウィッグをとり、ショートヘアに似合うイヤリングをいくつか買って帰ったと後日ご報告いただきました。外見ケアは病気により失った自信を取り戻すことに繋がります。

 サポート相談室に自ら足を運ばれる患者さんは、脱毛による心理的社会的な苦痛を強く感じている患者が多く、その苦痛の本質は、脱毛が自分に病気や死を思い起こされること、自分の身体イメージが変化したことへの違和感、社会における関係性(人間関係)が変化してしまうことへの不安などがあるとされています。

 みなとアピアランスサポート相談では、このような悩みを持つ患者さんに、どのように対処していくかを一緒に考え、QOLをより良くするためのサポートを行います。

著者プロフィール

  • 村橋 紀有子
    一般社団法人アピアランス・サポート東京
    みなとアピアランス・サポート相談室 室長

    経 歴

     電気パーマネントの国産機を開発した祖父から3代続く老舗美容室に嫁ぎ、サロン独自の「彫刻的カット技法」やフェイシャル技術など 伝統的美容技術を基礎から習得し、美容師として多くの経験を持つ他、スキンケアやマッサージ等の外見に関わる様々な資格を取得。平成28年10月港区と「がん患者への支援に関する連携協定」を締結し、外見(アピアランス)のケアに関する相談窓口として、みなとアピアランス・サポート相談室を開設。室長としてアピアランス・サポートを行っている。

    みなとアピアランス・サポート相談室
    美容室エステインターナショナル
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