-薬・サプリとセルフメディケーション-
③「トローチ」を噛まずに口の中で溶かす理由
その他の経口投与する製剤
今回は、口腔内に適用する製剤「口腔用錠剤」(トローチ剤、舌下錠、バッカル錠)を取り上げましたが、経口投与する製剤「錠剤」にも、水なしで服用するものがあります。
なお、これらの吸収は消化管で行われます。
口腔内崩壊錠
その名のとおり、口に入れると唾液ですぐに溶けるので、水なしでも服用することができる錠剤です。嚥下が苦手な小児・高齢者や、水分制限のある腎臓病などの患者にも用いられます。もちろん水で飲んでも問題ありません。
「口の中で崩壊する(Oral Disintegration)」という意味から、多くは「~OD錠」と名前がついています。
チュアブル錠
チュアブル(chewable)とは「噛むことができる」ことを意味します。チュアブル錠は噛み砕いたり、唾液で溶かしたりして服用する錠剤です。
チュアブル錠は噛み砕かずに服用すると吸収が遅れたり、効果が十分に発揮されない場合があります。嚥下が苦手な小児・高齢者や、水分制限のある腎臓病などの患者にも用いられます。
もちろん噛み砕いてから水で飲んでも問題ありません。
ここまでのまとめ:薬の「正しい飲み方」には理由がある
これまでの連載(バックナンバー:第1回/第2回)でご紹介してきたとおり、薬にはさまざまな工夫がなされています。第1回でも述べたとおり、薬の効果(薬効)を最大に発揮させるためには『必要な時に、必要な量を、必要な部位に到達させる』ことが大切です。
錠剤それぞれの特徴を理解し、正しく服用することが薬を有効に、安全に利用するために大切なことです。「噛む」「水以外で飲む」といった"ちょっとしたこと"でも、薬が台無しになることは容易に起こり得ます。
推奨された方法以外で薬を服用することは、絶対にやめましょう。
これまでの「働く人に伝えたい!薬との付き合い方」
参考情報
「コルゲンコーワトローチ」添付文書(興和)
「イーフェンバッカル」添付文書(帝國製薬)
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