ニュース

食事療法にスマートフォンを活用 ダイエットに成功

 スマートフォンのソフトを活用した新しい食事療法は、従来の患者の自己管理に重点を置いた食事療法よりも、効果的にダイエットを成功に導くことができるという研究が発表された。

 食事管理やフィットネスに役立てられるソフトが増え、スマートフォンを健康管理に役立てようという動きは、ますます盛んになっている。

 いつでもどこでも持ち歩けて、情報の双方向発信の機能が付いたスマートフォンは、情報機器として理想的といえる。

食事内容をスマートフォンでチェック
 英ブルーベリーコンサルタント社が開発した食事管理ソフト「マイ ミール メイト」は、スマートフォンを使い食事の記録をし、カロリーや栄養バランスをチェックし、減量目標の達成度を確認できるソフト。

 ソフトにはメール送信機能が付いており、栄養士に電子メールを送信し、食事療法についてのアドバイスを受けることもできる。栄養士は受信した記録をもとに、患者に適切なアドバイスを送ったり励ますこともできる。

「マイ ミール メイト」の画面
 この研究は、英リーズ大学の研究チームによるもので、国立科学研究所から資金提供を受けて実施された。結果は専門誌「インターネット医学研究ジャーナル」に発表された。

 研究の対象となった128人の参加者は、いずれも過体重や肥満と指摘されており、意欲をもっていても減量になかなか成功できないという悩みをもっていた。

 研究チームは参加者を、スマートフォンのソフトを使うグループ(スマートフォン群)、パソコンのオンラインのソフトを使うグループ(パソコン群)、印刷された食事日記を使うグループ(日記群)に、無作為に振り分けた。

 参加者はいずれも毎日の体重の増減を記録し、スマートフォン群のグループには隔日、パソコン群と日記群は週に1度、それぞれ食事や運動についてのアドバイスを電話や電子メールで受けた。

 6ヵ月後、参加者はいずれも減量に成功したが、開始時からの体重差は、スマートフォン群は4.5kg、パソコン群は1.4kg、日記群は3kgと差が出た。

 食事日記は、毎日の食事のカロリー摂取量を記録し、1日の食事のカロリー配分を適正に調整する手助けになる点で有用であることが確かめられたが、スマートフォンのアプリはそれを上回ることが分かった。

 期間終了後に食事療法プログラムにどれだけ熱心に参加したかを対面して調査したところ、もっともプログラムを遵守していたのはスマートフォン群であることもあきらかになった。

スマートフォンで食品データベースを検索
 「1日当たりどれくらいカロリーを摂取しているのかを正確には把握するのは、ほとんどの人にとっては難しいものです。しかし、スマートフォンを使えば、毎食後にすぐにチェックできるので、より正確さを期待できます」と、リーズ大学のミッシェル カーター氏(食品栄養科学)は指摘する。

 使用したソフトは、主な食品のカロリーと栄養成分を簡単に調べられるだけでなく、英国で利用できる加工食品や外食のメニューの栄養成分表示も検索できるというものだった。使われた食品データベースは、英国国民保健サービス(NHS)のホームページでも閲覧できる。

 「スマートフォンのソフトを使えば、食品売り場やレストラン、カフェテリアで、すぐに食品のカロリーや栄養バランスを確認できます。食事療法の指導を受ける人にとっては、こうした手軽さが、行動変容に結びつきやすいのです。どれだけのカロリーを摂取しているのかが分かるので、指導者にとっても適確なアドバイスが行いやすくなるというメリットがあります」(カーター氏)。

 食事の記録をデータベースに残し、指導を行う医療スタッフと共有できるだけでなく、食事療法に取り組む患者と情報を交換し、互いに励まし合うことも可能だ。

 スマートフォンを健康管理に役立てようという動きは、ダイエットや食事療法だけでなく、運動や身体活動、睡眠など幅広くみられる。肥満や糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの、患者の自己管理が大きな比重を占める慢性疾患の治療に活用できるソフトも増えてきた。

 今回の研究に使われたソフトは、糖尿病患者が血糖自己測定で得た血糖値やインスリン投与量を記録できる機能も追加される見込みだという。

Smartphone way to lose weight(リーズ大学 2013年4月15日)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「栄養」に関するニュース

2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年07月28日
肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
2025年07月22日
【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
2025年07月18日
日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
2025年07月18日
「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
2025年07月14日
適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
2025年07月14日
【コーヒーと健康の最新情報】コーヒーを飲んでいる人はフレイルや死亡のリスクが低い 女性では健康的な老化につながる
2025年07月08日
「大人の食育」を強化 人生100年時代の食育には地域や職場との連携も必要-令和6年度「食育白書」より
2025年07月07日
日本の働く人のメンタルヘルス不調による経済的な損失は年間7.6兆円に 企業や行政による働く人への健康支援が必要
2025年07月07日
子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶