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産業保健における保健師の活用を推進 厚労省検討会
2013年04月23日
厚生労働省は4月22日、「第1回産業保健を支援する事業の在り方に関する検討会」(座長=相澤好治・学校法人北里研究所常任理事)を開催し、産業保健支援事業の現状と課題について議論した。検討会は、今後、5月に医療関係者からのヒアリングを行い、6月に報告書を提出する予定。
産業保健の支援事業については、2011年に開催された「産業保健への支援の在り方に関する検討会」で、国や独立行政法人労働者健康福祉機構が行う、産業保健支援事業(産業保健推進センター事業、地域産業保健事業、地域産業保健事業メンタルヘルス対策支援センター事業)の効果的・効率的な実施について検討が行われ報告書がまとめられている。今回の検討会は、前回の報告書を踏まえ、産業保健の支援事業の今後の在り方について議論を行うもの。
同検討会では、まず厚労省から、産業保健を取り巻く現状について説明があった。企業における一般定期健康診断の実施状況をみると、過去1年間に一般定期健康診断を実施した割合は88.3%と高いものの、健診実施後の措置内容をみると、医師等からの意見聴取40.6%、就業上の措置29.1%、保健指導の実施38.2%と低い現状を報告した(平成22年労働安全衛生基本調査による)。 また、産業保健を支援する3つの事業(地域産業保健事業、産業保健推進センター事業、メンタルヘルス対策支援センター事業)について、主な事業内容やこれまでの経緯の説明などがあり、企業の規模が小さくなるほど産業保健が不十分で、特に50人未満の小規模事業場における労働者の健康管理は十分でないといった課題をあげた。 検討会では、健診後の医師による意見聴取の割合が低い現状について、委員から「産業医が意見聴取を行いやすくできる環境整備が必要」といった声があり、産業保健を支援する事業の仕組みや活用方法、その存在をきちんと企業に周知する必要性をあげた。 メンタルヘルスについては、産業保健においてますます重要になってきている中、企業によってメンタルヘルスへの取組が異なり十分でない現状があると指摘された。委員からは「産業保健支援事業の3つの事業が連携し、企業の実態にあったサポート、アドバイス等を行う役割として機能してほしい」といった意見があがった。 企業における産業保健について、保健師の役割が今後より大切になるとし、産業保健支援事業の中で保健師が担う役割を明確にし活用の場を広げることで、より良い健康支援体制の構築が可能になるといった意見があった。 厚労省は、今後の課題として、産業保健支援事業の3つの事業で実施している産業保健サービスの対象や内容を明確にすることや、同サービスを効果的に提供できる体制の構築、関係者への周知方法等を検討するとした。今後、5月に医療関係者からのヒアリングを行い、6月に報告書を提出する予定。 第1回産業保健を支援する事業の在り方に関する検討会(厚生労働省)
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