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社会保障の意識調査 「高齢者の負担増はやむをえない」が3割
2014年09月05日
社会保障を維持するために高齢者の負担が増えるのは仕方がない――。3割の人がこう考えていることが、厚生労働省が発表した「高齢期における社会保障に関する意識等調査」で分かった。
調査は6年に1度行っており、今回は2012年7月に20歳以上の世帯員1万1,614人から調査票を回収し、97%から有効回答を得た。 ・ 高齢者の負担増は「やむをえない」
少子高齢化が進行するなか、高齢者と現役世代の社会保障の負担水準については、「現役世代の負担の上昇を緩和するために、高齢者の負担が今より重くなることはやむをえない」という回答が30.4%、「現役世代が負担するべき」が27.0%を占めた。
「高齢者の負担増はやむを得ない」と答えた人の割合は、前回(2006年)調査から7.8ポイント上がった。「現役世代が負担すべき」は27.0%で3.2ポイント下がった。

「老後生活」のイメージした場合、半数以上が年金受給生活をあげた。老後は何歳からかという問いに対しては、若い世代では60歳以上と答え、高年齢層からは75歳から、80歳以上という回答が多く得られた。 ・ 半数が「健康問題」に不安を感じている。
老後に不安に感じていることは、「健康の問題」がもっとも多く45.7%、次いで「生活費の問題」が35.1%だった。年齢階級別にみると、若い世代では「生活費の問題」の割合が多くなるのに対し、高年齢層では「健康の問題」の割合が多くなった。 ・ 「70歳まで働きたい」は18%
何歳まで働きたいかについては、「65歳まで」が27.3%、「60歳まで」が19.6%、「70歳まで」が17.6%、「生涯働き続けたい」は7.7%だった。年齢階級別にみると、年齢が高くなるにつれて、働きたいとする年齢が高くなった。 ・ 生計を支える手段は「公的年金」
老後の生計を支える手段として頼りにする収入源は、「公的年金」がもっとも多く59.5%、次いで「自分の就労による収入」が16.7%となった。しかしこの考え方も若い世代と高年齢層では分かれる。若い世代は「自分の就労による収入」「貯蓄または退職金の取り崩し」など、「公的年金」以外の割合が増えた。 ・ 介護は「家族」と「ホームヘルパー」の両方から受けたい
介護が必要となり、自宅で介護を受ける場合については、「ホームヘルパーなど外部の者の介護を中心とし、あわせて家族による介護を受けたい」が34.2%、「家族の介護を中心とし、ホームヘルパーなど外部の者も利用したい」が27.1%で、家族とホームヘルパーなどの両方からの介護を受けたいという人が6割を占めた。 ・ 半数が「訪問サービスを増やしてほしい」
今後10年間で増えて欲しいと思う介護施設は、「訪問介護・看護サービスを提供する事業所」がもっとも多く49.1%だった。住み慣れた自宅で介護を受けたいが、家族への負担が大きくなることを心配する人が多いことが伺える。
次いで「通い、泊まり、訪問が一体的に提供される小規模多機能型居宅介護事業所」が36.5%、「自宅から通って利用するデイサービスを提供する事業所」が33.3%、「高齢者のためのサービス付きの住宅」が30.9%だった。 ・ 4割が年金の充実を望んでいる
充実させる必要があると考える社会保障は、「老後の所得保障(年金)」が41.0%、次いで「雇用の確保や失業対策」が39.4%、「高齢者医療や介護」が37.2%、「子供・子育て支援」が35.9%、「医療保険・医療供給体制」が35.6%となっており、いずれも4割前後に上った。 平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査(厚生労働省)
平成18年高齢期における社会保障に関する意識等調査(厚生労働省)
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