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2月4日は「風疹の日」 「国内感染ゼロ」を目指しプロジェクト始動
2017年02月02日
風疹を2020年の東京オリンピックまでに国内でなくそうというプロジェクトを、日本産婦人科医会や国立感染症研究所などが立ち上げた。
「風疹ゼロプロジェクト」(代表:木下勝之・日本産婦人科医会会長)は、毎年2月4日を「風疹の日」と定め、2月を強化月間としてホームページなどで啓発活動を行う。
先天性風疹症候群児の出生をゼロにし、風疹を完全に抑制することを目指している。
「風疹ゼロプロジェクト」(代表:木下勝之・日本産婦人科医会会長)は、毎年2月4日を「風疹の日」と定め、2月を強化月間としてホームページなどで啓発活動を行う。
先天性風疹症候群児の出生をゼロにし、風疹を完全に抑制することを目指している。
風疹リスクは30~50歳代の男性で高い


ワクチン接種をすることが喫緊の重要事項
2012~2013年の風疹の流行の際の、患者報告数は1万6,749例で、このうち成人が9割を占めた。男性は女性の約3倍と多く、1962年~1989年生まれの男性、特に1973~1980年生まれで顕著だった。女性でも、1979年~1989年生まれ、特に1983年度以降で多かった。
対策としてワクチン接種が有効だが、日本では、男女別・年代別で風疹の予防接種制度が異なっており、また過去の風疹流行時のばく露状況も異なることから、風疹ウイルスに対する免疫の保有状況が性・年代で大きく異なる。1979年4月1日以前生まれの男性は、1回も風疹の予防接種を受けていない。
また、風疹は1度かかれば2度はないとは限らない。かつては生涯に1度しかかからないとされていたが、流行の規模が小さくなった現在は、時間とともに抗体が減少し、感染予防可能な価以下になったときにふたたび感染し症状を出す可能性がある。
妊婦を風疹罹患のリスクから守るために、ワクチン未接種者や30歳代半ばから50歳までの男性を対象に、ワクチン接種をすることは喫緊の重要事項だ。
それに加えて、「風疹に罹患しやすい状況から身を守り、あるいは感染源となりうる背景をよく理解して危機予知、予防に努めることも重要」だと、同プロジェクトでは強調している。

計画的なワクチンの増産と検査キットの確保が必要
なお日本では2013年の麻疹の流行に伴いMRワクチンが一部不足し、流通が滞っている地域がある。小児の定期接種を確保するために、ふだんから推進している産褥早期の女性や、妊娠を希望する女性へのワクチン接種に支障をきたしている。
MRワクチンは、麻疹と風疹を予防するワクチン。無料で受けられる定期接種の対象は1歳と小学校入学前。かつては1回接種だったが、時間がたつと抗体が低下することから、現在は2回接種となった。
兵庫県や山形県、熊本県などが「MRワクチンの確保が困難」として、厚生労働省に対策を求めている。各地の医療機関や自治体窓口などに問い合わせが相次いでいるという。
国内では阪大微生物病研究会、武田薬品、北里第一三共の3社のワクチンがあるが、北里第一三共は現在、出荷していない。ワクチンの市場規模が限られる中、国内業者の多くはコスト面から余裕を持った生産体制をとれず、ラインをやりくりしてワクチンを製造している。
「ワクチン増産には時間がかかり、流行してからワクチン接種を推進するのではなく、計画的なワクチンの増産と検査キットの確保が必要」と、同プロジェクトは指摘している。
職場における対策も極めて重要
産業保健スタッフにとって、感染拡大を防止する上で、職場における対策は極めて重要だ。健康教育などを通して予防を中心とした風疹対策の重要性を事業者や労働者に理解させ、予防接種の推奨をはじめ、必要な対策を実施することが求められる。
産業保健スタッフがいない場合は、地域産業保健センターに対応を相談することも考えられる。また対応体制の確立については、連携する医療機関や保健所の支援を求めることも可能だ。
医療機関については、国立感染症研究所が「医療機関における風疹対策ガイドライン」を作成。また、日本環境感染学会が「医療関係者のためのワクチンガイドライン」を作成した。学校・幼稚園については文部科学省が「学校において予防すべき感染症の解説」を公開している。
風疹の日(日本産科婦人科学会)風しんについて(厚生労働省)
医療機関における風疹対策ガイドライン(国立感染症研究所)
職場における風しん対策ガイドライン(厚生労働省)
学校において予防すべき感染症の解説(文部科学省)
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