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「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に
2018年07月10日

西日本を中心に、広い範囲で記録的な大雨が続いた。被害を受けた地域で「熱中症」や「エコノミークラス症候群」の危険性が高まっている。これらは適正な対策をすれば予防が可能だ。
熱中症、エコノミークラス症候群に対策
西日本を中心として広い範囲で記録的な大雨に見舞われ、各地で甚大な被害が相次いだ。雨で地盤がゆるんでいる地域や、家屋の浸水害などで復旧に時間がかかる地域は、この後も気象情報や市町村の避難情報などに注意が必要だ。
梅雨明け後は「暑さ対策」(熱中症対策)が必須となる。気象庁によると、西日本から東日本にかけて30℃を超える厳しい暑さになる日が多くなり、夜も気温が下がらず熱帯夜が続く可能性がある。
復旧作業中や、たくさんの人が集まる避難所などでは、毎日の熱中症情報をチェックして、ふだん以上に「熱中症」と「エコノミークラス症候群」への対策を心がける必要がある。
熱中症は予防できる 十分な対策を
熱中症は気温が高いなどの環境下で、体温調節の機能がうまく働かず、体内に熱がこもってしまうことで起こる。
熱中症にかかりやすいのは高齢者、糖尿病など慢性疾患のある人だ。特に糖尿病の人は、高血糖の状態が続くと神経障害や皮膚の血流障害が起こりやすく、熱中症の症状に気付きにくくなっている場合があるので注意が必要だ。
消防庁の調査によると、2017年に熱中症で救急搬送された人の数は、7月は約2.7万人、8月は約1.7万人だった。発生場所は、住居がもっとも多く37%、次いで屋外が14%、道路が14%となっている。
熱中症というと屋外での対策に目がいきがちだが、屋内で熱中症を発症する人も少なくない。節電のために冷房などの使用を控えたり、温度を高めに設定したりしている場合は、屋内でも熱中症を発症しやすい。十分な対策が望まれる。








座って長時間を過ごす時には「エコノミークラス症候群」にも注意
避難生活が続くと、エコノミークラス症候群にも気をつける必要がある。熊本地震では地震が起きて1~7日の間にエコノミークラス症候群が多発した。わずか1日の避難でも起きるおそれがあり、家の中でじっとしている場合にも注意が必要だ。
長時間座ったまま過ごしたあと、歩きはじめたとたんに、急に呼吸困難やショックを起こし、ときには亡くなることもある――これが「エコノミークラス症候群」(深部静脈血栓症・肺塞栓症)と呼ばれる病気の典型的なケースだ。
エコノミークラス症候群は、肺動脈が血栓によって閉塞することで引き起こされる。長時間狭い椅子に座ったままの状態を強いられると、足の血液の流れが悪くなり、静脈の中に血のかたまり(静脈血栓)ができやすくなる。この静脈血栓が歩行などをきっかけに足の血管から離れ、血液の流れに乗って肺に到着し肺の動脈を閉塞してしまう。
エコノミークラス症候群と呼ばれるので「飛行機でのみ起こる症状」だと思われがちだが、実は飛行機だけではなく、車や列車などで座席に座って長時間を過ごす時や、オフィスでのデスクワーク、長時間の会議などでも起こると考えられている。
糖尿病や高血圧、脂質異常症などのある人は、血糖や血圧のコントロールが不良であると血栓ができやすい。高齢者、肥満のある人、妊娠中や出産後まもない人、外傷や骨折の治療中の人、手術やカテーテルによる治療を受けた人でも発症リスクが上昇する。エコノミークラス症候群は適切な対策をすれば、100%近い確率で発症を防げる。
エコノミークラス症候群を防ぐための6つの対策

深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の予防について(厚生労働省)
避難所における循環器疾患の予防のために注意すべきこと(日本循環器学会)
知って得するおはなし 血栓症ガイドブック(日本血栓止血学会)
避難所における循環器疾患の予防のために注意すべきこと(日本循環器学会)
知って得するおはなし 血栓症ガイドブック(日本血栓止血学会)
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