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若い世代ほど「公的年金」をあてにしていない 社会保障の意識調査

 老後の生活を支えるお金としてもっとも頼りにするのは、65歳以上は7割以上が「公的年金」を挙げるが、20~40歳代では4割以上が「就労による収入」を挙げる――働き盛りの年代のこんな考え方が、厚生労働省の調査で明らかになった。
子育てと仕事の両立 男女で見解の相違
 厚生労働省は平成28年度「社会保障を支える世代に関する意識調査」の結果を発表した。

 調査は、社会保障を支える世代の就業状況や子育て、親への支援の状況の実態を把握し、理想の働き方や社会保障にかかる負担のあり方などの意識を調査する目的で実施されている。

 調査は2016年7月に、地震で被災した熊本県を除く全国で実施。20歳以上の男女1万2539人に調査票を配布し、8873人が回答した(有効回収率70.8%)。

 子育てと仕事の両立について、「仕事が忙しくて、十分な子育てができない」(男性 53.9%、女性 25.5%)が男女ともにもっとも多く、男女で28.4ポイントの差がある。次いで、男性では「苦もなくできている」(33.5%)、女性では「そもそも仕事をしていない」(24.0%)が続く。

 「子育てのために、十分な仕事ができない」(男性 3.4%、女性 15.5%)は、男女で12.1ポイントの差がある。

 出産・子育ての環境を整備するために、どのような方策に重点を置くべきかを尋ねたところ、男性では「児童手当等の経済的支援の充実」(64.0%)が、女性では「教育費の負担の軽減」(57.5%)がもっとも多かった。「保育所等の充実」は男女ともに4割弱となった。

 「労働時間の短縮、フレックスタイム制等による労働時間の弾力化の促進」は男性 20.5%、女性 25.4%だった。

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「65歳」「70歳」まで働きたい
 自身の親や配偶者の親への手助けや見守りの状況をみると、年齢層が上がるとともに「手助けや見守りをしている」が上昇し、50~64歳では32.6%と3人に1人が該当する。

 手助けや見守りをしている人を対象に負担に感じることを尋ねたところ、「ストレスや精神的負担が大きい」(男性 33.0%、女性 44.7%)が男女ともにもっとも多く、とくに女性では4割を超えた。「仕事と両立する負担が大きい」(男性 22.5%、女性 21.6%)も2割を超えた。

 何歳まで働きたい(収入を伴う仕事をしたい)かをみると、年齢が上がるとともに「65歳まで」と「70歳まで」が上昇する傾向がみられる。

 男女ともにどの年齢階級でも「働く日数を減らしたり、時間を短くして働きたい」がもっとも多く、50~64歳では男性 55.6%、女性 60.5%となっており、5割を超えている。
8割が「公的年金が続くか不安」
 将来への不安について、男女ともに「公的年金が老後生活に十分であるかどうか」(男性81.0%、女性80.9%)がもっとも多く、「医療や介護が必要になり、その負担が増大してしまうのではないか」(男性50.0%、女性54.1%)も5割を超えている。

 自身の老後の生計を支える手段としては、1番目に頼りにするものは「公的年金」(52.5%)、次いで「自分または配偶者の就労による収入」(29.8%)を挙げた人が多かった。

 年齢階級別にみると、「自分または配偶者の就労による収入」は20歳代は47.8%、30歳代で46.7%、40歳代で43.6%ともっとも多い。50~64歳では32.6%、65歳以上では11.4%で、それぞれ2番目だった。

 「国民年金や厚生年金などの公的年金」を挙げた20歳代は29.5%、30歳代は33.4%、40歳代は36.4%でいずれも2番目。対して50~64歳は51.8%、65歳以上は72.3%と最多だった。
7割が年金の充実を望んでいる
 社会保障制度について、充実させる必要があると考える分野は、男女ともに「老後の所得保障(年金)」(男性 71.3%、女性 71.8%)がもっとも多く、次いで「高齢者医療や介護」(男性 51.9%、女性 56.5%)、「子ども・子育て支援」(男性 39.6%、女性 40.4%)、「医療保険・医療供給体制など」(男性 36.0%、女性 34.1%)と続いた。

 社会保障の給付と負担の考え方については、「社会保障の給付水準を維持し、少子高齢化による負担増はやむを得ない」(男性 25.4%、女性 23.7%)がもっとも多かった。

平成28年社会保障を支える世代に関する意識調査結果(厚生労働省 2018年9月14日)
[Terahata]
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