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非アルコール性脂肪性肝疾患の有無を判定するバイオマーカーを発見
2018年10月31日
聖路加国際大学と島津製作所は、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の有無を判定するバイオマーカー」を発見したと発表した。
「グルタミン酸」「α-ケトグルタル酸」「バリン」がNAFLDのバイオマーカー
両者は2015年2月から「人間ドックの血清オミックス解析による疾患関連マーカーの探索」というテーマで、予防医療に資する検査法確立に取り組んできた。今回の発見は、3年間に及ぶ共同研究の成果となる。
NAFLDはそれ自体が肝硬変、肝がんなどの重篤な肝疾患につながる可能性のある疾患というだけでなく、肥満や2型糖尿病、心血管疾患との関連も注目されているため、簡便な診断・発症予測は重要な課題となっている。
そこで、聖路加国際大学と島津製作所は、メタボローム解析によるNAFLD診断モデルの開発を目指してきた。オミックス解析は、生体内の分子全体を対象にした網羅的な解析。アミノ酸や糖、脂肪酸などが対象の場合は、メタボローム解析と呼ぶ。
共同研究では、2015年10月からの1年間に同大が運営する聖路加国際病院附属クリニック予防医療センターで人間ドックを受診した3,733人(平均年齢51.8歳、男性2,252人・女性1,481人)に協力してもらった。
脂肪肝は腹部超音波検査で診断し、採取した血清のメタボローム解析には、島津製作所製のガスクロマトグラフ質量分析計を使用した。NAFLDと診断された826人を健常者群と比較した結果、検討した代謝物135種類のうちもっとも強い関連を示したのが、「グルタミン酸」と「α-ケトグルタル酸」、「バリン」だった。性別や年齢、BMIといった調査対象者の属性を考慮しても、これらの代謝物はNAFLDの判別に有用なバイオマーカーであることが分かった。
研究成果は10月に山形県鶴岡市で開催された第12回メタボロームシンポジウムで発表された。バイオマーカーの発見には膨大な数の検体解析が必要だ。年間の健診受診者数約4万人の健診センターである予防医療センターを有する聖路加国際大学と、質量分析分野の研究開発を得意とする島津製作所は、NAFLD以外の疾患に対しても予防医療に貢献できる検査法の開発を目指すとしている。
聖路加国際大学島津製作所
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